【稲実の場合・弐(9)】★ ページ17
コンコンコン、と、ノック音が響いたのはその時だった。
「…はい…」
力なくドアに声をかけると、ガチャッと開いて…
「すまん…もしかしてウチの奴らが…」
申し訳なさそうな顔で入ってきたのは原田君。
中に3人がいるのを見てグッと眉間に皺が寄り、怒りのオーラが放出される。
「…テメーら…買い出しの途中でいなくなったと思ったら…!」
「あーぁ。もう雅さん来ちゃったし。」
「来ちゃったし、じゃねぇ!お前が率先して抜け出したんだろ、鳴!」
そう言うと、はぁ…とため息をついてから原田君は私に向き直った。
「月原…毎回毎回すまん…すぐ連れて帰る…」
「あー、うん…よろしくお願いしまーす…」
ははは…と力なく笑いながらそう言うと、原田君が私の顔を見てふと眉をひそめる。
「…なんだか顔色が悪いみてぇだが…」
「え?…あぁ…え〜とぉ…」
「Aさん、あの日なんだってさー。」
どう説明しようか迷っていると、成宮君が止める間もなくサラッと言ってしまった。
…そ…そうなんだけど…!
もっとオブラートに…!
「…あの日…?」
「らしいですよ。」
崩れ落ちていた床から立ち上がりながら、神谷君も続けたけど、どうやら原田君はわからなかったらしく…
「…あの日って…何だ?どの日だ?」
眉をひそめたまま問い返す原田君に、白河君がやれやれと言わんばかりに息をつく。
…まぁ…ね、わかんない…よね…。
「…あ、あのっ、大したことじゃないから気にしな…」
「えー?わかんない?…あ、そっか、雅さん男兄弟ばっかの長男だもんねー。女の子のあの日ってのは、生理のことだよ。」
…またしても。
成宮君がドストレートに言ってしまったワケで。
原田君は、そのまま暫く完全にフリーズしてしまっていた…。
「…あ、あの…原田君?」
心配になって声をかけると、ようやくハッと我に返り…見る見るうちに顔が赤くなってくる。
「…す、すまん…!」
片手で口元を覆いながら目を泳がせる原田君に、なんだかこっちの方が恥ずかしくなってきた。
「…その…どうにも、疎くてな…」
「そ、そりゃ仕方ないよ、うん…」
「…月原…ということは、その…」
…と、赤面したまま何を言うのかと思ったら…
「…せ、赤飯でも買って来た方がいいのか…?」
「「「「…………………。」」」」
…まさか…再び赤飯の話題になるとは…。
はあぁ…と、2年生3人から諦めに似たため息が漏れた…。
(Rin様リク)
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雪星(プロフ) - さーたんさん» 楽しんでもらえたようで良かったです!とりあえず、照れはするだろうな、と。それからの反応はそれぞれ違うだろうな、と思いながら書きました(>_<)ゾノはこのシリーズのオチ担当です(笑) (2017年3月2日 20時) (レス) id: 51d66f5e63 (このIDを非表示/違反報告)
雪星(プロフ) - のりさん» ゾノは、あの歌を歌ってる場面がポンッと降ってきまして(笑)御幸の回なのになんだかゾノがメインになってしまったような…(^^;まぁ面白くなったからいいかな、と(^^; (2017年3月2日 20時) (レス) id: 51d66f5e63 (このIDを非表示/違反報告)
雪星(プロフ) - 桜さん» いえいえ、こちらこそせっかくリクしていただいたのに、お応えできなくて申し訳ありません(T_T)再開したら、またヨロシクお願いします! (2017年3月2日 20時) (レス) id: 51d66f5e63 (このIDを非表示/違反報告)
さーたん - やばいですね!!!事故チューどれも最高でしたッ!金丸はかわいいし亮さんはかっこいい!!そしてゾノの登場にはわらいました笑 みんなが照れててテンション上がりました笑 ありがとうございます!!笑 (2017年2月19日 0時) (レス) id: a56f300cf9 (このIDを非表示/違反報告)
のり - 雪星さん» ども、おひさです。…とりあえず、ゾノwお主は我をわらかしてくるのぅw御幸の話を読むとデリカシークラッシャー御幸を思い出してただでさえ吹いちゃうのにw (2017年2月16日 23時) (レス) id: 7a0132dcf2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雪星 | 作者ホームページ:
作成日時:2016年7月29日 18時