【三年生の場合・弐(5)】★ ページ13
「クリス…お前もAの様子を?」
「あぁ。明らかに少しおかしかったからな。」
哲にそう答えてから、クリスは私に目を向ける。
「大丈夫か?風邪か、それとも…」
「…えーとぉ…」
またしても言葉に詰まっていると、今度は純が腕組みをして口を開く。
「風邪じゃねぇ方だとよ。」
「…あぁ…なるほどな。道理で顔色が悪いと思った。」
「…なんでその会話でわかるの…」
察しの良い二人に半分感心、半分呆れていると、純が腕組みをしたままチラリとこっちに目を向ける。
「青白い顔して腹抱えてりゃ、選択肢に入ってくるだろフツー。」
「そ、そんなもんかな…」
それこそ、亮介みたいにお腹壊したとか思うんじゃ…。
「それより、お前今日は早く帰れよ。薬持ってんのか?」
「いや、今は持ってない…」
「ったく…だったら余計早く帰れ。んで、ぬるま湯にでも浸かって体あっためとけ。あと、ショウガ食え、ショウガ!ストレッチもしとけよ、血行良くなっから。」
ポンポンと生理痛緩和の方法を口にする純に目を丸くしていると、同じ感想を持ったらしい亮介が感心したように口を開いた。
「随分詳しいじゃん、純。」
「…上に姉貴が2人もいると、知りたくなくても色々知っちまうんだよ…!」
「へぇー。羨ましいなー。」
「棒読みじゃねーか!絶対思ってねぇだろ!」
「お姉さん2人ってのはほんとに羨ましいよ?」
「言っとくけどな、全っ然良くねぇぞ!学校の帰りに『羽根付きのヤツ買ってきて』って頼まれる男子中学生の気持ちがわかるか!?」
ムスッ、と眉間に皺を寄せて過去のトラウマ体験を語る純に、さすがに同情の視線を向ける。
…は、羽根付き…!
純のお姉さん…さすがにそれは勘弁してあげて欲しい…。
その時、何とも言えない部屋の雰囲気を振り払うように、クリスがゴホン、と咳払いをした。
「…まぁ…それはともかく…早く帰った方がいいという意見には賛成だな。」
「…あ…う、うん…」
クリスの言葉に頷くと、哲も真面目な顔で続ける。
「本当に顔色が悪いぞ。気をつけて帰れよ。」
「わかった。」
「ところで、A…」
「…?何?」
相変わらず真顔の哲を改めて見やると、哲は眉一つ動かさずに言った。
「結局のところ、『アレ』とは何だ?」
「「「「……………。」」」」
「…ん?どうかしたのか?」
「…哲…わかってなかったのね…」
「?」
首を傾げる哲に、ため息が4つ重なった…。
(Rin様リク)
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雪星(プロフ) - さーたんさん» 楽しんでもらえたようで良かったです!とりあえず、照れはするだろうな、と。それからの反応はそれぞれ違うだろうな、と思いながら書きました(>_<)ゾノはこのシリーズのオチ担当です(笑) (2017年3月2日 20時) (レス) id: 51d66f5e63 (このIDを非表示/違反報告)
雪星(プロフ) - のりさん» ゾノは、あの歌を歌ってる場面がポンッと降ってきまして(笑)御幸の回なのになんだかゾノがメインになってしまったような…(^^;まぁ面白くなったからいいかな、と(^^; (2017年3月2日 20時) (レス) id: 51d66f5e63 (このIDを非表示/違反報告)
雪星(プロフ) - 桜さん» いえいえ、こちらこそせっかくリクしていただいたのに、お応えできなくて申し訳ありません(T_T)再開したら、またヨロシクお願いします! (2017年3月2日 20時) (レス) id: 51d66f5e63 (このIDを非表示/違反報告)
さーたん - やばいですね!!!事故チューどれも最高でしたッ!金丸はかわいいし亮さんはかっこいい!!そしてゾノの登場にはわらいました笑 みんなが照れててテンション上がりました笑 ありがとうございます!!笑 (2017年2月19日 0時) (レス) id: a56f300cf9 (このIDを非表示/違反報告)
のり - 雪星さん» ども、おひさです。…とりあえず、ゾノwお主は我をわらかしてくるのぅw御幸の話を読むとデリカシークラッシャー御幸を思い出してただでさえ吹いちゃうのにw (2017年2月16日 23時) (レス) id: 7a0132dcf2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雪星 | 作者ホームページ:
作成日時:2016年7月29日 18時