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〈15〉視線【亮介】 ページ15

純がおかしい。

今日の放課後、居眠りの罰で反省文を書かされて部活に遅れてきた純は、ようやく練習に合流してからもいまいち集中できてないみたいだった。

なんだかボーッとしてたと思ったら、ハッと我に返って頭をブンブン振ってみたり、いつも以上に人の話を聞いてなかったり、チラチラと校舎の方を気にしてみたり。

なんだろう…。
気になることでもあるのかな…。

そう思った俺は、休憩に入ったタイミングで純を捕まえた。

「なんか今日はいつにも増して落ち着きがないじゃん。どうかしたの?」

「っ!亮介…!…べ、別にどうもしねーよ!」

カッ、と顔を赤くして、目をキョロキョロさせながら純が答える。
ほんと、嘘つくの下手だよねぇ。

「ふぅん?」

さて、どこから攻めてみようか?
…まぁ、校舎を気にしてみたり、『なんで俺がこんなこと考えなきゃならねぇんだ!』って顔に書いてたりするし、そもそも純がこうやってムキになるのは、たいてい…

「…相模と何かあった?」

「んなっ!?」

そう言って、純は口をパクパクさせながら目を見開く。
はい、図星。

そのままニコニコしながら何も言わずに見つめていたら、純は諦めたようにため息をついたあと、ボソボソと小声で話し始めた。

「…別に…そんな特別なことじゃねぇよ…その…たまたま、部活行く時にアイツを見かけてだなぁ…!」

「見かけて?」

「なんか、アンケートいっぱい抱えてたから、教室まで運ぶの手伝ってやっただけだよ!そんだけだ!」

「…アンケート?…教室で、集計するって?」

「だとよ!みんな部活で忙しいからって一人で引き受けたらしいぜ、あのクソ真面目は!」

そこまで言うと、純はくるっと俺に背を向けてズカズカ歩き去っていく。

なるほどねぇ…そういうことか。

クスッと笑いながら、俺は純の後ろ姿を見送った。
これは…もしかすると、面白いものが見られるかもしれないなぁ。

「…あの…亮さん…?」

「何?倉持?」

「…なんか…ろくでもないこと企んでる時の黒オーラが出てますけど…」

ズビシッ!

「ろくでもないって何?殴るよ?」

「殴ってから言わないでください…!」

俺がチョップした頭を押さえながら、倉持が呻くように言った。
口は災いの元、だよ、倉持。

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設定タグ:ダイヤのA , 伊佐敷純 , 恋愛   
作品ジャンル:アニメ
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にゃん丸(プロフ) - 純さんのピュアな感じが堪らなく好きです。私は亮介くんが大好きなのですが、こちらの亮介くんもすごく好きで、素敵な夢をありがとうございます。 (2022年1月28日 20時) (レス) @page50 id: 07285a2235 (このIDを非表示/違反報告)
りぃ(プロフ) - コメントは初ですが、読むのはこれで5回目くらいな気がします……定期的に読みたくなるくらい大好きなお話です! 素敵な夢をありがとうございます! (2020年9月11日 23時) (レス) id: af19170a94 (このIDを非表示/違反報告)
shinox2(プロフ) - 純さんの小説嬉しすぎます! (2019年1月4日 18時) (レス) id: c23d485c4b (このIDを非表示/違反報告)
ウコッケー - これすげぇ好き (2018年1月9日 13時) (レス) id: 2f0a509601 (このIDを非表示/違反報告)
雪星(プロフ) - Akkiyさん» ヤバい、そんなん言われたら考えちゃうじゃないですか(笑)まずは今書いてるヤツを終わらせないとですが…とりあえずプロットもどき作るか(笑)←ヤル気だ(笑) (2016年6月11日 20時) (レス) id: 1f6d2a7be2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:雪星 | 作成日時:2016年2月6日 18時

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