【成宮&原田&多田野と愚痴(1)】★ ページ28
「ねぇちょっとAさーん?聞いてるー?」
「あー、聞いてる聞いてる。」
「うわ、絶対聞いてないしー。」
片付けの手を止めずに後ろの成宮君に適当に相槌を打ったら、それが気に入らなかったらしく、成宮君は机に頬杖をついて、ぷくっとほっぺたを膨らませてしまった。
「だから、ちゃんと聞いてるってば。」
思わず苦笑いを浮かべて成宮君を見つめて言うと、「ほんとにー?」と疑わしげな目線を向けてくる。
「また完投させてもらえなかった、って話でしょ?」
「そう!そうなんだよ!今日はすっげぇ調子良くて、パーフェクトペースだったのに、なんでそれで5回で変えられるワケ!?」
「…パーフェクトやっちゃったら『練習』試合にならないからじゃないかな…」
苦笑いを浮かべたままボソッと答えてみたけど、ご立腹の成宮君は全く聞いていないらしい。
「しかも今回は雅さんが言い出したらしいんだよね!俺は5回で変えたらどうかって!」
「あー、そうなの?」
「絶好調のエースを変えさせるってどうなの?それでも俺の相方なの?キャプテンなの?って感じ!」
相変わらずプリプリと怒っている成宮君を見ながら、私は小さく息をついた。
実際の原田君の考えまではわからないけど…
「…まぁ、原田君なりに、成宮君のこととかチームのこととか考えて言ったんじゃないかなぁ…」
「俺のこと考えるなら完投させろっつーの!」
「またそういうことを…」
成宮君のことだけ考えるワケにはいかないんだからさぁ…。
私は手元のジャグやコップを棚に仕舞ってから、成宮君の正面のイスを引いて座った。
「…良かったね、成宮君。原田君がいて。」
「は?なんで?今…」
「そうやって甘えられるもんね。」
ニッコリ笑いながらそう言うと、成宮君は目を見張ったあと、気まずそうに私から視線を逸らした。
…あ、自覚はあるんだ。
「…だってさ…キャプテンじゃん…これくらい引き受けてくんないとさ…」
「うん。だから、引き受けてくれてるよね。成宮君の八つ当たりも。」
「…雅さんだって、色々大変なのはわかってるけどさ…」
「つい甘えちゃうんだよね。」
そう言うと、成宮君の頬がほんのりと赤くなってきた。
そのままチラッと私に視線を向けて、口を尖らせながら言う。
「…なんか今日のAさん、ヤな感じ!」
「なんか今日の成宮君、可愛い♪」
なんだかんだ言いながら、原田君のこと頼りにしてるんだよねー。
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雪星(プロフ) - 椰子の実さん» 椰子の実さん、コメントありがとうございます!大好きと言ってもらえるだけで嬉しいのに、頻繁に読んでくださっているとは…!元々自分の息抜きで始めたある意味バカバカしい短編集ですが(^^;楽しんで書いてますので、また読んでやってくださいっ(≧▽≦) (2016年9月11日 22時) (レス) id: 1f6d2a7be2 (このIDを非表示/違反報告)
椰子の実 - このシリーズが本当に大好きで大好きで、ほぼ毎日読んでる感あります(笑) (2016年9月11日 20時) (レス) id: 5b93e46beb (このIDを非表示/違反報告)
雪星(プロフ) - 抹茶さん» 抹茶さん、コメありがとうございます!夢主は、制服の時は基本的に短パン装着してる設定です(^^;すぐ足が出る自覚があるので…(^^;たまに忘れてたりして、倉持や白河君がその場面に遭遇してラッキースケベが発動してます(^^; (2016年4月6日 23時) (レス) id: 1f6d2a7be2 (このIDを非表示/違反報告)
抹茶 - この作品とっても面白いです(^^♪後、前々からずっと気になってた事があるんですが夢主ってよく回し蹴り?してますよね、この時パンツ丸見えになってないんですか?もし、見えてたら倉持達は見て見ぬふりをしているのですか? (2016年4月4日 23時) (レス) id: 301a2e1b49 (このIDを非表示/違反報告)
雪星(プロフ) - あおあおさん» あおあおさん、はじめまして!コメありがとうございます!有り難いお言葉、嬉しいやら恥ずかしいやら…(≧▽≦)なるべく早く続編公開できるように頑張りますので、少々お待ちください(>_<) (2016年4月2日 22時) (レス) id: 1f6d2a7be2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雪星 | 作成日時:2016年1月27日 19時