【ダイヤのA】部活終了後のマネージャー室４《短編集》

【三年生の場合・弐(12)】 ページ13

声を揃えた私と亮介を半分睨み付けるようにして純は言い、仕方なく私はチョコを取り出して腕組みをして仁王立ちする純の前に立った。
…なんか…嘘とはいえ改めて正面から言うとなると…は、恥ずかしいな…。

「…えと…純…」

正面の純は軽く頬が赤くなっていて、たぶん私も赤くなってるよなー、なんて思ったら余計に恥ずかしくなって、思わず視線を揺らす。

「そ、その…私、純のこと…」

チラチラと、目を合わせたり逸らせたり。

「…す…好き、だよ…」

どうにかそれを言い終わってから…3秒後。
ボフンッと音がしそうなくらいの勢いで、純の顔が耳まで一気に赤くなった。

「…じ、純…！」

「ち、ちが…！こ、これは、別に…！」

「ねぇ純。いつから墓穴掘るのが趣味になったの？」

「う、うるせえぇっ！！墓穴とか言うんじゃねぇ！！」

ゆでダコみたいに真っ赤な顔で亮介に怒鳴ってる純に苦笑いを浮かべていると、またドアがコンコンとノックされた。

「はーい。どうぞー。」

声をかけると、ガチャッとドアが開き…

「久々に純が騒いでいると思ったら…Aが来ていたのか。」

そう言いながらクリスが入ってきて、すぐあとに哲も続いてくる。

「哲！来てたんだ。」

「あぁ。担任に聞きたいことがあってな。ついでに寮に寄って、そこでクリスに会ったんだ。」

そう言ってフッと笑う哲と、隣で微笑を浮かべるクリスは…なんていうか、やっぱり落ち着きがあって包容感に溢れていて…

「…なんかこう…亮介や純にはない大人の雰囲気が漂う二人…」

思わずボソッと声に出して言ってしまったら、純にギロッと睨まれた。

「どの辺が俺らにない大人の雰囲気だって？」

「そりゃやっぱ一番は身ち…」

「身長、なんて言ったらブチ殺すぞテメェ。」

「それなりの覚悟をもって口にしてよね。」

「…ナンデモナイデス…」

そういうところが大人の雰囲気とは程遠いっての！
…とは思ったけど、後が怖いので口には出さないでおく。

はぁ、とため息をついてから、私は忘れないうちにと哲とクリスのチョコを紙袋から取り出した。

「はい、これ。哲が来てくれてて良かったよ。」

「…あぁ…いつもすまないな。」

「気にしないで。半分自己満足だし。…で、チョコ好きのクリスは気持ち豪華にしてみました。」

「なんだか気を遣わせて悪いな。…それで、これはゴディバか？デメルか？」

「…高校生の小遣いでそんなものがホイホイ買えてたまるか。」

「すまん、冗談だ。」

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