溺愛される鬼少女② (ページ34)

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願いはひとつ① ページ34

うどんを食べ終わって3人とは別れた。
…まあ、任務に連れて行かれそうになったけど逃げてきた。

「ただいま…ってあれ？」

いつものように庭を回ろうとしてると前から実弥さんが歩いてきてた。

「よォ」

「治ったんですね」

「おかげさまでなァ」

私の頭を軽くぽんぽんする。
気持ち良くて思わず目を細めた。

「…ッ」

「？さねみん顔赤いよ」

「うるせェ…さねみん言うなァ」

可愛いなあもう。

「じゃァ俺はこれから任務だ」

「そうなんですね。がんばってね！」

「おう」

毎回増えていく傷を見てると悲しくなる。
隊服の空いた胸元から見える傷をそっと触る。

「なんだァ？」

「死なないでくださいね」

「死なねぇよ」

そう言って実弥さんはもう一度私の頭にぽんと手を置いて

「またなァ」

と言葉を残して去って行った。

「…怪我治るの早いな」

さすが柱だわレベルが違う。

また暇になったけど何しよう？
アオイのお手伝いでもしようかなあ。

「A～～っ！！」

「うおっ！？善逸…」

後ろから飛びつかれてよろけた。

「なに？なんなの？」

「死にかけたよおお」

「…いや。生きてるじゃん」

ピンピンしてるじゃん。
私に飛びつく余裕があるなら大丈夫だよね？

「こわがっだぁぁ」

「善逸、かっこ悪い」

そう言うと涙がピタッと止まった。
ズビズビ言ってるけど…

「…ふふ。嘘だよ。生きて帰ってきてくれてよかった」

「…なんでそんなに優しいの！？変なもの食べたの！？」

「なんでだよ」

元から優しいわ。

「だってぇ。いつも暴力女化しつつあるのにぃ」

「どこでそんな言葉覚えたのかな？」

お口が悪いよね？

「…まあ、私の願いはひとつだけなんだよね」

何の話してるの？とでも言いたそうな善逸。
背伸びして私より背の高い善逸の頭に手を置いた。

「みんなが無事で生きていてくれること」

「…子供扱いしないでよ」

とか言いながら善逸嬉しそうじゃん。

「でも、俺もAに生きててほしいよ。ずっと」

善逸の頭に置いた私の手を善逸が取る。
そして優しく握った。

「…ありがとう、善逸」