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見返したい。認められたい。まずは校内SNSで情報収集からだ。
〈『UNDEAD』のライブの構成や特色に詳しい方、資料持ってる方いませんか? プロデュースの参考にしたいです〉
書き込みにしばらくして返信がつく。
〈おれ、セトリとか演出のレポ集めてます!〉
次の昼休み、食堂で会うことになって、授業が終わるなりわかりやすい席を確保しに走った。送信者──白鳥藍良くんはアイドル科で、私と同じ一年生。
白鳥くんは、どうして資料を集めてるんだろう。前からファンだったのか、夢ノ咲に来てからそういう情報が入りやすくなったのか。事前に聞いたところかなりたくさんストックがあるみたいだ。
水を飲んで一息入れると、ちょうど薄い黄金色の髪を揺らして、小柄な可愛らしい男の子が話しかけてきた。
「きみが淡井さん? おれ、昨日連絡した白鳥藍良です、お待たせしました」
「いえいえ! 今回は本当にありがとう、助かります」
「いいの、おれもアイドルの話がもっとできるといいなって思ってたとこだもん」
緊張ぎみだった表情が和らいで、白鳥くんはふんわり笑顔を見せる。
「おれね、昔からアイドルが大好きで、いろんな情報集めてたりするんだ……♪」
はいこれ、重いかもだけど、と差し出してくれたのはプリントアウトされたライブごとのレポートだった。たしかにかなりの枚数がある。
「セトリは単独イベントの分は全部あるよォ、いくつかはおれが現地で見て、──拙いけどレポも書いたのが入ってる。他のイベントも演出とかいろいろ、仲良くさせてもらってる人とかにもらった記録があるからね……そうだ、それと、動画もここに」
ライブのグッズなのか、キーホルダーがついたメモリースティックまで。これだけのものを、ただ善意で。満面の笑みを浮かべている白鳥くんは、本当にアイドルが好きなんだなってわかる。
「すごい……ありがとう。必ず生かせるように頑張る」
「うん、応援してるよ、淡井ちゃん♪」
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作者名:霙えんぜる | 作成日時:2022年1月19日 21時