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*


自分の動きがスローモーションのように感じられる。地面に足を引っ掛けて、真正面から転んだ、ということに気がついたのは地面に手をついた後だった。


「ったぁ……」


え。


左足が痛んだ。いつかの傷――その痛みじゃない。新しい感じの、ずきりと嫌なもの。

足、捻った? そんな、立てないなんて、



いつの間にか、ヤツはすぐそばまで来ていた。

ひ、と思わず声が出る。怯んで立てない。
生臭いにおいとおぞましい呼吸音。黒に近い紫色、見開かれ充血したような目。


間際になってこんなに観察できるだなんて思わなかった。すべての動作が、時間の流れが、何倍も遅く感じられた。



「っA!!」



影山さんのいつになく必死な声と、彼の弓を引く音が聞こえて、思わず目を瞑ったその時。


ジャキンッ



「…………え」


誰のものでもないような、切り裂く剣の音が聞こえた。


ばちっと目を開くと、目の前を駆けていく銀色の光。私が呆然とする先で、ヤツの身体が光と共に真っ二つに切り裂かれる。

何倍もの呻き声が森じゅうに響き渡った。そして、閃光弾のようにあたりを照らした後。

消滅、した。


「…………っはあ」


大きくて重たそうな剣を振り下ろす。

重装備の背中。その背格好が、いつか見た、景色光景と重なる。


「…………そんな」


嘘でしょ。そんな、まさか。


ドタドタと背後からする影山さんたちの足音。それに気を取られないまま、私は何となくぼんやりと目の前を眺めていた。


それは、偶然で。


それは、運命になる。



「――大丈夫か?」


振り返ったその人は、目が合って「……あ」と驚きを隠さずに呟いた。

それがもし、奇跡なら。

私は動揺と、混乱と、歓喜を隠すことができないだろう。


逆光で暗い"彼"の顔はよく見えなかったけれど、確かに、彼が彼だと判別できた。

呆然として、どことなくまだ上の空な頭のまま、ぽつりとその名をつぶやいた。



「いわいずみ、さん……」



そう。彼こそ――。


*

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設定タグ:ハイキュー!! , FHQ , 影山飛雄   
作品ジャンル:ファンタジー
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作者名:スマトラ島のラフレシア | 作成日時:2016年8月1日 18時

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