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ぎょっとする彼らに、地響きに負けない大きさの声で怒鳴る。……怒ってはいない、たぶん。
「逃げ足はそう速くないはず――とにかく今ここでとか無理です、道を戻りましょう!!」
開けたところまで! その一言で、エンジンがかかった。
うわああああと日向さんの叫び声がする中、無我夢中で走り出す。戦法にもあるでしょう、「逃げるが勝ち」!
ただ。そう物事の運びはうまくないようだ。ドスドス地響きがして、森じゅうの木という木が揺れ、勿論地面も揺れている。
叫びながら走った。……予想通りヤツは追って来て、
そしてようやく、冒頭へと戻るわけである。
*
「研磨どこ行ったの!?」
「あの人だからたぶん後で帰ってきますよたぶん!!」
「…………あー、死ぬかと思った」
「影山立ち止まんなよ!!」
4人でだいたい横並びに走る。研磨さんは、まあ……後で合流できるか。
距離は離れていれど、後方から聞こえてくる呻き声の恐ろしいことといったらない。取って食われそうで、そして、どこまで行ったらいいのかわからない。
「どこまでっ……行きます……!?」
「まけんのかコイツ!?」
「知るか! とりあえず走ってるだけだろ!」
影山さんの口から暴論が飛び出した時、青根さんが低い声で言った。
「二手に……分かれる」
「ふたっ……!?」
「この先、分かれ道だ」
そうだ、と思い出した。
進んできた時、道が広くなったと思ったら横にまた道があった。
逆から考えれば、ここから行けば道が分かれるということ。二手に分かれさえすれば、ヤツはどちらを追うか迷うだろうし何らかの対策だって立てられる。
青根さんはそれを考えて――。意見が一致した。パーティの心はひとつだ。
「じゃあおれ左に行く!!」
「Aは俺と右に来い!!」
「はいっ影山さ、」
え、と頭の中が真っ白になった。
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作者名:スマトラ島のラフレシア | 作成日時:2016年8月1日 18時