「」I miss you…【MS】 (ページ2)

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そんな考えが覆る初めての“恋”の相手は、高校の先輩だった。同性の。図書室でたまに見かける聡明で物静かな人だった。当然の事ながら片思いで終わった。次に好きになった人も、その次も、片思いで終わった。本人には勿論、誰かに打ち明けることも出来なかった。

大学に入って少しした頃、所謂出会い系というのを知った。誤解のないように言っておくけれどマイノリティ界隈では、そういったかたちの出会い方は割とメジャーだ。簡単にカムアウト出来る事ではないし隠して日々を生きるのがデフォルトだから、目的を同じとする者達が集うコミュニティーサイト的なものでないと相手を見付け難い。というかそれが一番手っ取り早い。

僕は、そこでやっと誰かと付き合うことになる。約束して会ったところで進展のなかった人もいるし、体だけの関係の人もいた。普通に友達になった人もいたし、親しくなった人に教えてもらって所謂ハッテン場に出入りするようにもなった。
ポジション的には基本タチだけど相手によっては両方した。持て余し続けてきた性欲と好奇心を、やっと開放する事が出来た僕は何でもやった。今思うとゾッとするような事も。

僕はマイノリティ同士が集う場では普段と外見を変えていた。眼鏡を外してコンタクトを入れ、前髪も上げて服装も、まぁ、派手というかチャラいというか何というか。シャツの胸元を開けたりだとか細身のパンツを履いたりだとかアクセサリーを着けたり、その程度だけれど。あとは一人称も変えていた。
違う自分として開放的になりたかったとか、そういう事ではなくて。街中で偶然誰かと擦れ違ったりしてもバレたくなかったから。普段と、謂わば裏側とで顔を使い分けているから知っている方の顔の時しか“知り合い”だと気付かれないロジック。実際たまたま裏側の格好をしている僕と街中でエンカウントした大学の同期はそれが僕である事に気付かなかった。

何人か付き合っては別れ、どうせ結婚なんて出来ないんだから、欲望のままにタイプの違う何人かと体だけ結んでいるのも悪くないと思っていた頃、一人の男と出会う。

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