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その先の事を言っていることは承知の上で先生は一歩下がる。今になって考えればわかるよ、軽率に踏み込めなかったことは。そもそも教師と生徒が一線を越えるなんてのは、あり得てはならない事であるわけだし。キスだってそう。俺が先生んちに泊まるのだって、そう。
でも俺はあの時確かに先生の家にいたし、既に何度目かわからないキスもした。一個踏み越えてしまえばもう何をしたって俺にとっては同じことだった。だからその先に期待するのも自然なことだった。
「好奇心は猫を殺す」
九つも命がある猫でさえ好奇心で容易く死ぬこともある。そんなイギリスかどこかの諺で窘めたのは、凄く先生らしかった。でも俺の“好奇心”と比喩されたそれは簡単には鎮まらなくて押し問答になる。
「ねえ俺、死んでも良い」
「後悔どころじゃ済まないよ」
元々声を張って喋るタイプではない先生の、普段より幾分かトーンを落とした声が、あの日と同じように“後悔”という言葉を以て俺を制する。
「キスされても俺は後悔しなかったよ？」
「それとこれとは」
「同じだよ。心より体を奪う事の方が重いの？俺があの時せんせーに奪われたのは唇じゃなくて」
言い終わる前に塞がれる唇。正直ちょっとだけ、怖かった。肩を押されて仰向けにされた瞬間の手の力、大人の、本気の欲望が唇や舌や肌から伝わってくる感覚が、怖かった。
同時にそれまで味わったことがないほど興奮したのも事実で。全身を廻る血が沸点に及んで泡立つのを、感じた。
「心が僕の物なら、体も僕の物にして良いの？」
唾液で濡れた、僅かに離れた唇から甘えるような声を出してそんな事を言うから、大人の色情に圧倒される。
もとよりこの期に及んで拒否するなんて選択肢はなかった。何より自分からふっかけたんだから。俺が、先生のになりたかったんだから。
「逆に駄目な理由がなくね？」
「山ほどあるよ。それに君、痛いの苦手じゃなかったっけ」
「え、苦手だけど。何すんのSM？」
「違う」
具体的に何をどうするのか“やり方”がわかっていなかった俺を、先生は笑った。でもここで止めなかったのは、俺が何もわかってないと知りながら押し進めたのは、我慢出来ないところまできていたからなんだと思う。
やさしいキスが何度か降ってきて耳や首筋を舌が這う。あ、俺、そうかこっち側なのか、とか思った時に腰が砕けるような声で囁かれた言葉を“初めて”の痛みとともに今でも思い出す。
「僕の物にする」
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7oh(プロフ) - 薫さん、おはようございます！読んでいただきありがとうございます。褒めてもらえてうれしいです！ありがたきハピネスです！！葉山先生より少し色がある、っていうのグッときました。先生側の話もお楽しみに！ (2019年7月1日 8時) (
レス) id: c7b4c0e1dc (このIDを非表示/違反報告)
薫(プロフ) - 7ohさんこんばんは！いっきに読んでしまいました。翔くんの歳下なのに潤の扱い方とかチャラい外見とか、私の好きな要素がつまっててありがとうの世界です！潤は、葉山先生より少し色がある感じ…翔く素敵です。いいです。別バージョン楽しみに待ってます (2019年7月1日 2時) (レス) id: 93fa30b886 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：7oh
| 作成日時：2019年6月30日 21時
