そのよん。 ページ4
「ねえ聞いた?この町、最近火事が多いじゃない?あれ、放火魔がうろついてるせいだって噂よ」
「放火魔!?やーね、怖いわ……あ、芽衣ちゃんおかえりなさい」
道端で立ち話をする二人の主婦が芽衣を見つけて笑いかける。
それを見た芽衣は「ただいま!」と元気よく笑った。
再び立ち話に戻る主婦たちの横を通り過ぎて、少し歩けば庭に植えられた大きな松が目立つ自宅が見えた。
ふと、納屋の方に視線を向ける。
目に映った人形の影に、芽衣は凍りついた。
その光景は昨日の朝と同じ。
窓越しのフランス人形は二つのにごった碧眼で芽衣を凝視していた。
何かを恨むようなその顔が、夕陽に赤く照らされている。
「なんで……今朝はなかったのに」
芽衣は人形の視線を振り切るように駆け出し、家の中へ入ると「お母さん!」と叫んだ。
「なーに?ただいまも言わずに……」
キッチンから顔をのぞかせた母は、おたまを片手に怪訝そうに眉をひそめる。
「今日、納屋の人形動かした?!」
上がった息も整えずに半ば叫ぶように問う。
「はあー?人形?引っ越しの時以来、わたしは納屋なんてまともに入ったこともないわよ?」
その母の言葉を聞いて、サーと血の気が引くのを感じた。母が動かしたわけじゃないのなら、なぜ……?
――こわい。
迫りくる恐怖に、芽衣は顔を青くしてうつむいた。
握った拳が小刻みに震えている。
「ちょっと……どうしたのよ、大丈夫?」
母の心配する声も聞こえていないかのように、芽衣はうつむいたまま、ゆっくりとした足取りで階段をのぼっていった。
ギシギシと階段のきしむ音が、静かな広い家の異質な雰囲気をより一層濃くしている気がした。
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退屈な日常。(プロフ) - 途中で泣いてしまった...っ(´;ω;`) 文才分けてくださ(( (2014年10月1日 18時) (レス) id: 62c9b4f07d (このIDを非表示/違反報告)
8927(プロフ) - 文章力ヤバイですね!思わず引き込まれてしまいました。最後はハッピーエンド(?)でよかったです! (2014年7月2日 22時) (レス) id: 7fc28f0c24 (このIDを非表示/違反報告)
まーさん(プロフ) - ペンタブでしたかっそうですよねっ、ペンタブなら上手な方ですよ!(笑)イラストのうまさでカバーできてますw (2014年6月10日 22時) (レス) id: ae5c5ba8de (このIDを非表示/違反報告)
ゆず(プロフ) - いおんさん» 絵がうますぎですっ((((;゚Д゚))))神ですねっっヽ(゚∀。)ノ (2014年6月10日 19時) (レス) id: d2f212b3a4 (このIDを非表示/違反報告)
妙子(プロフ) - お人形がおばあちゃんで守ってくれてたって終わり方が好きです♪素敵なホラーありがとうございます☆ (2014年6月10日 9時) (レス) id: 30085790ce (このIDを非表示/違反報告)
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