At Home's Lover ~Extra Edition~【黛千尋】

番外編２#テスト勉強 ページ20

１年の夏・・


期末考査の勉強をしていた日のことです。






「うーん…」





やっぱり物理は苦手だ・・






「何やってんだお前」




・・・！！





「ち、ちひ、ちひ千尋さん！！」





お風呂上がり・・


まだ乾いてない髪から、シャンプーの香りがする。




「あ？」

「い、いえ！」




思わず見つめていると、一喝された。






ドキドキ・・



何でしょう



ドキドキ・・



この頃、千尋さんを見ると心臓の鼓動が速くなる



ドキドキ・・



お医者さんに診てもらったほうが良いのでしょうか





「み、見てわかる通りテスト勉強です」


「何で此処(リビング)で？」


「リビングで勉強すると、効果が上がるとか上がらないとか・・」




一方の千尋さんは、何も知らないので通常運転




「ﾌｰﾝ…」




表情を変えずに、私が解いてきた跡をまじまじと見つめる。



わからないけど・・恥ずかしい。


私を見つめている訳ではないけど恥ずかしい！





「………そこちげーよ」


「え？」


「お前時間知らねーくせに何距離求めようとしてんだよ。」


「は？え、え？」


「だからそれ時間を使わねーもう1個の公式があんだろーが。」


「え？え？」





口頭で説明されてもわからない・・！！





「ﾊｧ…」




すると、





「！？」


「こんなクソ簡単な問題１発でわかるからよく聞けよ」





隣に座った！！







「＿＿＿＿で、こいつを公式に＿＿＿＿＿＿」


「はい・・」






雑な説明だけど、簡潔でわかりやすい・・



千尋さん・・



何故・・頼んでもいないのに？






「＿＿＿＿＿＿おい聞いてんのか」


「(ひぃ…)き、聞いてますとも！」





あぁ、そっか


受験に使う科目だからか・・









「ほら、もっかいこの問題解け」


「はぃ・・」






おかしいな・・



前までは、大嫌いだったのに・・



意地悪ばっかりしてくるし(今もだけど)







「解けました。」


「な、簡単だろ？」






その絶妙な優しさ


ずるいと感じてしまう。







「宮本君は丁寧でわかりやすかったけど・・
千尋さんは雑でわかりやすかったです。」



「(宮本…?)当たり前だろーが。３年だぞ。」


「そうですね・・」







あぁ、まだドキドキ言ってる。




重症かもしれないな。









そんな私が " 恋 " に気づくのは、



もう少し先の話。








甘くて苦い、複雑な想いの形。








この時はまだ、"何も"知らなかった。

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