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45_交差点の彼 ページ46

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鍵を閉めたのを確認して、待ち合わせ場所に向かっていた。




その場所に近くなる程、

クリスマスとだけあって特に若者で溢れかえる。






「すいませんっ」






皆傘を差して歩いてるから、頻繁に人とぶつかってしまう。



普段よりかなり込み合ってる交差点・・



人混みは苦手だけど、

彼に会うためならどうって事ない。






「ねえ、本当に上映時間間に合う?」

「間に合うって。どうせ最初の10分宣伝じゃん?」





信号待ちをしていると、隣のカップルの会話が聞こえてきた。


この人達も映画に行くのか・・


傘を差していてもしっかりと繋がれた2人の手を見ては、微笑ましくなった。






信号が青になると、人という人が一斉に歩き出す。


早歩きで先を歩いて行ったカップルを眺めながら、自分はゆっくり歩いていた。





ドンッ




傘と傘がぶつかる音がした。





「すいませんっ」




相手は背の高い男の人で、

よほど急ぎの用だったのか、勢い良くぶつかっては、早口でそう言った。






本当に急いでいたんだろう。






私が傘をずらして見上げた時も、

彼は自分の進行方向だけを見ていたのだから。









「シュウ?」









その人は、私がよく知っている人にそっくりだった。








「でも、アメリカに・・」







待って、

あの時タツヤが言ってた






『シュウが日本に帰って来ているそうだ。』






シュウは今、日本にいる・・?







「シュウ!」







私は、交差点を逆走した。


シュウが、歩いて行った方向へ。







「シュウ・・シュウ!!」







人混みの中で、シュウの背中は次第に遠くなる。




突然逆走して大声を出すもんだから、

行き交う人の中には舌打ちをしたり、
「気を付けろよ」とか「周り見ろよ」とか、

まさに正論といった言葉を呟く人もいた。




それでも私は、シュウを追いかける。







「シュウ待って!いつから日本に!?」






このみっともない声は、人混みと雨音に消されて、


彼に届くはずがない。

そんな事、わかってる。







「シュウ!」





交差点を渡り終えた所でようやく追い付いて、彼の腕を掴んだ。


その反動で落とした傘とスマホの存在には気づかなかった。







「え?あの、誰?」





あ、れ






「すみません・・人違いです」






よく見ると、傘の色が違った。

似たような背格好だったから間違えたんだ。








じゃあ、シュウは何処・・?

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作者名:ぴこ | 作成日時:2018年1月17日 3時

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