35_加速する想い(宮地side) ページ36
「いって…」
カーテンの隙間から差す僅かな日光と、
変な体勢で寝ていたのか、
ずっしりと錘に乗られたような首の痛みで目を覚ます。
「いってぇ……膝もいてぇし…」
太腿から膝にかけても、錘のような何かが乗っかっている感覚。
「______うぉぉぃ!?」
「スー…スー…」
真下を見れば、俺の膝を枕代わりにして
規則正しい寝息をたてて寝ている彼女。
「ビ、ビビった・・」
考えてもみてほしい。
朝起きて、ふと下を見るとそこには生身の人間が眠っている。
軽くホラーだぞ・・
「てか、なんで・・?」
一緒の部屋でこんな密着して寝るとか、
普段だと有り得る訳ないだろ・・
そう思ったが、目の前のテーブルを見て理解した。
「・・やらかした。」
空になった幾つものビール缶(全部俺が買い貯めといた)に、
1ヶ所に散らばる残ったつまみ。
「おーい、起きろー」
寝ぼけ眼をこすりながら、弱い力で彼女の頭を揺さぶってみる。
起きる訳ねえか・・
「なげー睫毛…」
何の気なく、顔にかかる一束の髪をそっと彼女の耳にかける。
すると、
「んー…んんんー」
何だその反応(笑)
「悪いな、また暴走させちまって」
勿論、この声が彼女に届いている訳ではない。
「伊月にバレたら叱られるなー」
背もたれがベッドだったため、そのまま後ろに倒れ込み、天井を見ながら言う。
「"偽装恋人"・・なんだよな、俺ら。」
なんとまあ中途半端な関係性だ。
「勘弁しろよな・・俺、元カノと別れて月日経ってねえってのに(笑)」
彼女が寝ていると解っている為か、直に言えない本音が漏れ出てしまう。
「ま、未練とかそういうの全くねーんだけどな・・」
自分でも驚くほど、今回は切り替えが早かった。
「お前・・・今好きな奴とかいる?」
ここも当然の如く無反応。
「付き合ってる奴とか、いた?」
いたんだろな・・
「誰だよ・・氷室?それとも、別の知らない奴?」
自分で気づかないうちに、口調が荒くなっていく。
「妬けるわ・・すげー、妬ける。」
自分の思いに正直になっていく。
「好きなんだよ、お前の事。」
それはもう、加速するばかりの気持ちだった。
「誰の物にもなるなよ・・
ずっと、俺の所に「グスッ…」
_____ん?
「お前・・」
もしや、起きて・・・た?
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作者名:ぴこ | 作成日時:2018年1月17日 3時