32_恋人？(宮地side) ページ33
11月も残り僅かとなった。
「お先に上がりまーす」
この店でのバイト日数も、残り僅かだ。
「お疲れ〜」
何の気なく、声をかけてくる女。
例の元カノだ。
「お疲れ」
向こうがそうと来れば、俺だって負けじと気にしていない風を装う。
「清志君！」
「あ？」
「パーカーの裾、捲れてるよ」
・・あ、
「んじゃ、」
１秒でも気を許しちゃ負けだ。
もうすぐ縁を切るんだしな。
「あー、イラつく・・」
最寄り駅に向かう最中、虚しく一人言を呟く。
宅飲みしてー気分だ・・
アイツは飲んだら暴走するからな・・
１人で飲もう。
そんな俺が向かう先は、
「よ、」
「宮地さん！」
彼女のバイト先である本屋だ。
何でも、今日は運悪く、例のストーカー野郎とシフトが被ってるらしい。
しかも今日に限って閉店時間(22:00)までみっちりシフトだとか。
帰り道が危険すぎるため、俺が送ることになった。
「お前、クッソ地味だな(笑)」
「え！？」
20歳の大学生故の若々しさが感じられない。
あのイケメン兄貴の血を引いただけあって、
素材は十分良いからかなり勿体ないぞ。
「地味なのが私に合ってるんです！」
「"K大バスケ部の姫"なのに？」
「か、からかわないでくださいよ！」
弄り甲斐があるな、コイツ。
「そういえば、宮地さん、すごく背が高いですよね。」
「急に何だよ。」
「いや・・それだけ身長があれば、高い所に本を置くのも楽だろうなーって」
「デカいはデカいで、色々大変だぞ？」
「えぇー？」
「威圧感があるとかクレームが＿＿＿＿＿」
するとその時だった。
「小林さん、仕事中に話し込んではいけませんよ。」
「＿＿＿＿！？」
何だコイツ？
えらくビビって・・・・・・！？
「小林さんのお知り合いの方ですか？」
「あ、はい」
一見、穏やかでか弱そうな雰囲気のこの男・・
「そうですか」
「・・・」
名札に、『山口』と書かれている。
紛れもない、ストーカー野郎だ。
「スラッとした好青年だから、てっきり小林さんの恋人か何かだと。」
は？
何言ってんだ、この男。
「恋人です。」
いやお前も何言って・・・
「はぁ！？」
「この人は・・私の・・こ・・恋人です！」
おいおい・・
ストーカー前にして、
思考回路、バグった？
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作者名：ぴこ | 作成日時：2018年1月17日 3時
