23_ペアチケット(宮地side) ページ24
そんなこんなで、全試合が終了した。
『優勝は、S大学です。』
………優勝しちまった。
『S大の皆さんには賞品の映画館ペアチケットを1人1枚差し上げます_____』
賞品、ショボ…!
「おめでとー!」
「誰誘うのー?」
「いらないなら頂戴ー」
マネどもが寄ってたかるがスルーして、
俺は彼女の姿を捜す。
「タツヤ!」
氷室・・
「ガン見してんじゃないすか(笑)」
「あ?」
振り向けば、笑い混じりに話す高尾。
「ペアチケット、Aさんを誘ってみたらどうですか?」
「・・・」
正直な所、
今日のイベントで彼女と距離を詰められたかと問われればNOとしか答えようがない。
新たに知った情報と言えば、
"イケメン"氷室と何やら関係がある
って程度だ。
結局、合コンの時と同じじゃねーか。
「そういや、連絡先は」
「聞いてねえよアホ」
俺・・何やってんだ。
「え"!?あ、Aさんもう行っちゃいますよ!」
もう、良いわ。
「やめだやめだ。年下相手に馬鹿らしい。」
「え、諦めるんすか?」
だってな・・
端から、あんな美形に勝ち目ねーし。
「ダリーわ、暫く1人で落ち着くわ、」
「あっ・・宮地サン!?そっち駅の方向と違いますよー!」
「俺これからバイトなんだよ。」
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PM21:00
「ハァーッ…」
くそだりぃ・・
「コソッ)宮地君、お客さん減ってきたとはいえ、表でため息なんて駄目だよ」
「は、はぁ…すんません。」
ココ、東京都某区の喫茶店。
閉店1時間前となり、客も減り、
気を抜いていた所を店長に注意された。
「あとちょっとだからね、最後まで気合い入れて」
「ウッス」
店長が言ったこの、"最後まで"の"最後"とは、
閉店時間の事を指すのではない。
俺がバイトを辞める11月30日を指す。
「寂しくなるなぁ、宮地君、女性のお客さんにも人気だったから」
「はぁ…」
あくまで、"自主退職" である。
何かをやらかしてクビになるという訳ではない。
まぁ、本当にくだらないちっぽけな理由なんだが・・
『カランカラン♪』
「「いらっしゃいませー」」
・・・って、
「お前っ…!」「宮地さん!?」
それは、思ってもみない、早すぎる再会だった。
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作者名:ぴこ | 作成日時:2018年1月17日 3時