21_" 氷室辰也 " (宮地side) ページ22
「タツヤ?」
コート上の一点を見つめ、笑っていた先程とは打って変わった表情を見せた彼女。
その時、
「なぁ、あれってさ」
周りがザワつき始めた。
「やっぱそうだよな?」
「シュートホームがスゲエ奴!」
何だ?
女子に浮かれていた三島と大江も、
そっちのけでコートに注目している。
すると、
「「「「せーのっ・・氷室クーン!!」」」」
謎のファンクラブ!?
・・ん?
"氷室"って____!
「み、宮地サン!」
「あぁ・・あいつだ」
高校3年のWC。
直接当たった訳ではないが、
同じ会場で同じ汗を流した。
ましては奴は、名の知れた名プレイヤーだった。
俺等世代で、知らない者はいないだろう。
「氷室辰也・・」
.
〜試合終了〜
「負けた・・」
「惜しかったなー」
勝者は、氷室扮するA大だった。
「しかし驚きっすね・・この大会に、まさかあんな大物が。」
「女子のギャラリー増えたの気のせいか?」
俊敏かつ華麗なプレイスタイルは、WCで見た時以上だった。
「・・あの、」
「・・!?」
ふと声のする方を見れば、上目遣いでこちらを見上げる彼女。
「宮地さん・・達は、彼・・氷室辰也の事を・・」
知っているかって、事か?
「知ってるも何も、俺等の中では有名人だしな。」
「え?」
何だ?
てか、氷室ウェーブで忘れかけたが、
試合始まる前、『タツヤ』って・・
「そうなんですね・・」
「?」
僅かに緩んだ彼女の頬。
その理解に苦しんでいると・・・
「んあ?」
先程までオーディエンスに囲まれていた氷室辰也が、
こっちに歩いて来たぞ?
「A・・!?」
!?!?
「え、ちょ、ヤバ!近く来たよ!?」
「てか超絶イケメンじゃない!?」
「あの女の子の知り合い?」
色んな奴の視線という視線が、氷室と彼女に集まった。
「タツヤ、久しぶり・・だね・・」
視線を憚ってか、わからないが、
間を空けてそう言った彼女。
「帰って来てたなんて、聞いてないからビックリしたよ」
「うん、ごめん・・」
こ、これは
「でも、こうして再会出来て嬉しいよ、A。」
間近で2人の会話を聞いて、確信した。
「・・うん、」
勝ち目のないライバルを持ってしまったと。
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作者名:ぴこ | 作成日時:2018年1月17日 3時