もしも。 ars（os） (ページ1)

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S side

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普通に大学に進んで、普通に就職して、普通に結婚して至って普通に生きて死ぬ人生だと思ってた。
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智「．．くん？おーい、しょーくん？」
翔「あっ、．．ぼーっとしてたごめんね？」
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彼、智君に出会うまでは。

智君との出会いは、珍しく残業をした会社の帰り道その日突然の雨に振られて傘が無い僕は雨宿りが出来る所を探して走った。
その時、いつもは通らない細い暗い路地から１カ所だけ明かりが点いていたのが目に入り、無意識に僕はその明かりの元へ走っていった。

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翔「．．わぁ。」

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そこには、暖かみのある淡いオレンジ色の照明に照らされて大量の本が置いてあった。
本屋さん？古本屋さん？古いが多く置いてある。
なんだか、ここだけ時代がどこか止まってる様な店構えに圧倒されてその場に立ち尽くしていた。

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智「おにーさん。」
翔「．．え！？」
智「お店の入り口じゃ、濡れちゃうよ？」

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少し焼けた肌に紺の着物を身にまとったお兄さんが話しかけてきた。
店主さん思ってたより若い方なんだ、僕と同じ歳くらいかな。

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翔「す、すいません！」
智「ん？」
翔「ここの本屋さんって、最近出来たばかりですか？」
智「結構前からあるよ？元々は俺のじーちゃんの店だからね。」
翔「．．全然知らなかったです、こんな素敵な所」
智「俺あんまりここ開けないからなー。気まぐれで開けてるからね」
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いたずらっ子ぽく笑った本屋さんに、僕の心臓がドキッとした。