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32話 ページ33

〜丑嶋〜

今日は真っ直ぐ家に帰る気になれなくて、暇してた戌亥を捕まえ呑みに来ていた。


いつもの焼き鳥屋でビールを煽る俺たち。


戌「丑嶋くんから誘ってくるなんて珍しいよね。なんかあった?」


丑「別に。」


戌「そっか。.....、でもいい事はあったでしょ?いつもより表情が柔らかいよ。」


戌亥からの思わぬ発言に俺は驚きの視線を向けた。



戌「あれ、無意識?結構分かりやすかったよ。」



そう言って笑う奴に、俺はつい焼き鳥を頬張った。



戌「もしかして、Aとついにくっついた?」


丑「アホか。んな事しねぇよ.....。」


戌「へぇ〜、なんで?ずっと好きだったくせに。」



少し棘を含んだ言葉が俺をチクチクと刺してくる。


丑「あいつはまだ真っ当な道に戻れる。俺が繋ぎ止める義理もねぇだろ。」


戌「そっかぁ....。丑嶋くんはAが真っ当な道に戻って、普通に働いて、普通に恋して、結婚して子供作って、母親になって行くのを指咥えて見てるわけだ。」



頭を鈍器で殴られたような感覚が襲ってきた。


戌亥の放った言葉が俺を揺さぶる。


握りしめたジョッキを勢いよく持ち上げ、体にビールを流し込む。



戌「丑嶋くんの気持ちもよくわかるよ。でも、俺はごめんだね。Aが知らないやつに恋焦がれるとか。結婚するとか。そんな事になったら、多分相手のことをどうにかしちゃうと思うよ。」


暗い笑みで、おっかない事を呟く戌亥。


それを見て、俺は思わずにやけてしまった。



丑「戌亥...、お前も男だな....。」


戌「えぇ?丑嶋くんには敵わないけどね。」


丑「ふっ。」


戌「それに、この先の道は彼女が選ぶもんでしょ。俺たちは、ただ真っ直ぐに想いを伝えるしか無いと思うけど?」


丑「青臭せぇな...、戌亥。」


戌「まぁね〜。長年の想い人ですから。簡単に諦められないよね〜、お互い。」



俺たちはビールを呑みきり、焼き鳥を胃に収めた。


戌「さ、帰りますか。Aが待ってるでしょ?」


丑「.....、あぁ。」



俺たちはいつものように別れた。



あいつの顔を思い浮かべながら、真っ直ぐと帰路に着いた。

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由良の門を - 社長こんなかっこよかったっけ?主人公ちゃんを大切にしてる感がめちゃ好きです♪頑張ってください!! (11月5日 0時) (レス) @page13 id: 2f071b2218 (このIDを非表示/違反報告)
翠晶(プロフ) - しおらんさん» 読んでいただきありがとうございます...!頑張りますので最後までお付き合い頂けますと幸いです! (2022年4月17日 6時) (レス) id: 4b3f971a43 (このIDを非表示/違反報告)
しおらん(プロフ) - 凄く好きです!マサルも…好きすぎる…。完結まで頑張ってください!! (2022年3月23日 22時) (レス) @page31 id: d42d8a020d (このIDを非表示/違反報告)
翠晶(プロフ) - めいさん» ありがとうございます!!ゆっくりの更新ですがちゃんと完結できるよう頑張りますので最後までお付き合い頂けると幸いです!! (2021年8月31日 13時) (レス) id: 4b3f971a43 (このIDを非表示/違反報告)
めい(プロフ) - 好きな作品で読んでいてすごく面白く続きが気になります。更新頑張ってください (2021年8月30日 21時) (レス) id: e56d417d92 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:翠晶 | 作成日時:2021年1月8日 21時

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