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【仏蘭西.パリ.ホテルカフェ】
「ここまで来るとは驚いたわ。さすがと言うところかしら。
______坂口さん。」
アールグレイの紅茶を一口、Aは大理石のテーブルにカチャと静かに置く。
向かいの一人用ソファに座ったのは、仏蘭西人でも欧米人でもなく、日本人。
_____坂口安吾。
かつてAが公爵位であったころの同僚である。
「...わざとらしい。手がかりを残したのは貴女ではないですか？
___まさか、仏蘭西にいるとは思いませんでした。」
「ふふ、そう？
これから英国へ行くつもりよ。」
Aはくすっ、と小さい笑みを浮かべて冗談なのか真実なのかわからぬ軽口を言う。
はあ、と深いため息をする坂口は、Aをもう一度真剣な眼差しで見つめた。
「貴女は一体、何をしたいんですか。」
「うふふ、自分でもわからないわ。」
「冗談はやめてください。」
「あら、本当よ？
___ドストエフスキーの側へ行くために、公爵位を譲り、特務課としての規範を破ったわ。
でも、次は��彼��の監視や予測からどう逃げようか考えているの。
とんでもない薄情な女でしょう？」
「どういうことですか？
貴女は��死の家の鼠��の一員ではないにしろ、彼への協力疑いがある。
疑いがないにしろ、貴女が今までこなしてきた仕事内容には機密事項が山程ある。
___そんな中、彼からも政府からも逃れるなんて、貴女でも無理がある。
まさか、今更彼の性分が恐ろしくなったというわけでもないでしょう？」
「もちろん、そうよ。
彼が私を攫った時、奇しくも、私は��やっと解放された��と思った。
...私のエゴが今までの私の功績を作り上げて来たわ。でも、そのエゴにも限界があったのかしらね。最早普通の人間が善悪を判断する基準を、自分でもわからなくなるほどに。
私は彼の側にいたいわ。
今からムルソーの管理者を殺して、彼を脱獄させてもいい。
でも、そうしないのは____、そうね、
女は心移ろう生き物よ、私も例外ではない。
私は彼よりも大事なものができた。
そのためなら、彼すらも蔑ろにするわ。」
「.....貴女ほどの人が、一体何を....、」
「大事なものは、大事なものよ。
政府が私をどうしたい？」
「貴女の身柄を拘束したいのは山々ですが、そうできないのは今更の話です。
こちらの呈示する件に協力して頂ければ、貴女への身柄確保はないでしょう。罪を犯したわけではありませんので」
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津島 紫(元.朱晴)(プロフ) - 狸古参さん» 恐縮です、ありがとうございます。これからも頑張りたいと思います！名前の方ですが、私太宰治さんの作風が大好きで勝手ながら、、後私の縁のある神社の名前が偶然津島であったので、おかりしました。 (2019年7月13日 15時) (
レス) id: eb415dbbf6 (このIDを非表示/違反報告)
津島 紫(元.朱晴)(プロフ) - テクテク道化師さん» ありがとうございます。これからも楽しんで頂ければ幸いです！ (2019年7月13日 15時) (レス) id: eb415dbbf6 (このIDを非表示/違反報告)
狸古参(プロフ) - なんかもう、好きです。なんで伸びないんでしょうね？真剣にそう思うほどの名作だと思います。お忙しいとは思いますが、どうかご執筆の方宜しく御願い致します。…所でお名前なんですが、太宰治さんの本名の津島修治から取っているのでしょうか？ (2019年7月13日 13時) (レス) id: 8c91947ba7 (このIDを非表示/違反報告)
テクテク道化師(プロフ) - 不思議な世界観で書かれていてとっても面白かったです！ (2019年6月7日 16時) (レス) id: 6e13862324 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：津島 紫(元.朱晴) | 作成日時：2019年6月6日 22時
