_１２. ページ14
＃A・カレーニナ
「思い出しましたか？」
今まで、モヤがかかったように思い出せなかった過去。
肌は青白く染まり、
その表情は珍しくも呆然しているだろう。
「仕方ありません。
その後、貴女の兄が亡くなり、立て続けに父の病気まで発覚...。
貴女は過去を本能的に閉ざした。
そうしなければ、貴女は貴女の力で、
��一族の誇り��を護れなかったのですから。」
��一族の誇り��？
何を言っているのかわからなかった。
私はあくまで、立場を利用したのだ。
私は��カレーニン��の血を継いでいない。
父の慈悲で私はカレーニナを名乗れた。
それは親戚間では皆言葉にしないだけで、わかっていた。
私が夫人とその愛人の子であると。
暗黙の了解というやつだ。
父の慈悲と言っても、
大半を占めるのは世間体であるし、親戚は私を厄介にしかしなかった。
異父兄だけ。
私を愛し、慈しみ、傍にいてくれた。
でも、そんな兄も戦争で命を散らした。
そんな醜聞にまみれたちっぽけなプライドの塊...
��一族の誇り��を、なぜ、
兄も父もなく、
親戚の甘言も都合の良い言葉も全部踏みにじり、本を読みふけって、領地のことを勉強し、知識に貪欲となった。
あんなに邪見にしてた親戚も、何も言わなくなった。否、言えなくなったのだ。
私が、一族の誰よりも、
公爵たる人物になってしまったから。
社交界ではそんな私を褒め称える声が今でも上がる。
��慈悲深い父への恩ですわね。��
��お兄様を見習い、とてもお勉強をしたそうよ��
��今やあの父よりも公爵としての才能がある！��
違う、
私は利用しただけよ。
女が見下されない、出生やルールで決められた道を進まない、
その手段が、私が��公爵��になることだった。
「....___、ふふ、あはははは！」
「.....どうしたのです？」
私はおかしくて、おかしくて、
今までにないほど大きい声を出して、嗤った。
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津島 紫(元.朱晴)(プロフ) - 狸古参さん» 恐縮です、ありがとうございます。これからも頑張りたいと思います！名前の方ですが、私太宰治さんの作風が大好きで勝手ながら、、後私の縁のある神社の名前が偶然津島であったので、おかりしました。 (2019年7月13日 15時) (
レス) id: eb415dbbf6 (このIDを非表示/違反報告)
津島 紫(元.朱晴)(プロフ) - テクテク道化師さん» ありがとうございます。これからも楽しんで頂ければ幸いです！ (2019年7月13日 15時) (レス) id: eb415dbbf6 (このIDを非表示/違反報告)
狸古参(プロフ) - なんかもう、好きです。なんで伸びないんでしょうね？真剣にそう思うほどの名作だと思います。お忙しいとは思いますが、どうかご執筆の方宜しく御願い致します。…所でお名前なんですが、太宰治さんの本名の津島修治から取っているのでしょうか？ (2019年7月13日 13時) (レス) id: 8c91947ba7 (このIDを非表示/違反報告)
テクテク道化師(プロフ) - 不思議な世界観で書かれていてとっても面白かったです！ (2019年6月7日 16時) (レス) id: 6e13862324 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：津島 紫(元.朱晴) | 作成日時：2019年6月6日 22時
