ドッペルゲンガー【太宰治】

十 ページ12

{ 太宰. }






「ふむ、興味深い....」






[ 津島 A ]


21歳。新人の頃トラブルを起こしキャビンアテンダントとしての職を辞す。

その後、フリーで通訳として働く。


兄妹は....、姉が一人。
両親も現在生きている。...出身は青森県十和田市。






今日、探偵社を訪れた彼女は実に美しい容姿をしている。.....この私に、生き写しのような容姿だ。


気にしている素振りは全く見せていないが、私だって一応人間だ。この世にあそこまで自分そっくりな人間がいれば少々引っかかるところがある。




....だが、彼女の経歴に嘘は一切ない。
修正された形跡も、消された形跡も。




少し気になるのはフリーで通訳していた時だ。





だいたいは東京都内で仕事のため来日した外国人相手に通訳者として働いていたようだが、それにしては少々仕事が手薄だ。

現在フリーでも通訳者の需要は大きい。


彼女は学歴も素晴らしいし、まずフリーで活動するのもおかしい。
...はて、彼女は仕事うんぬん言うほどマイペースでも不真面目でもないように思える。


...それに今日身にまとってるいた鞄は結構な値のする高級ブランドのものだ。



敦くんのように金銭面に困ってる素振りは一切なかったし、あんなにあっさり寮に入らないことを承諾したのにも少々疑問がある。







「....まるで見えないご婦人だね。」









『斜陽』.....。


あの能力は厄介だ。
能力の発動しない私が、彼女の胡散臭いところを見つけなけれはならないのは言うまでもない。


きっと入社試験のこともバレているな。
少々細工が必要か否か....。

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