下剋上その6 ページ7
「アイツら…なんでここにいんだ?」
私が指さしてナイスガイくんに見せたのは、例の私とナイスガイくんをいじめてきた野郎二人だった。
彼らは暗闇の中、手にランプを持って駄弁りながら歩いている。私とナイスガイくんには気づいていない。
「ガキ、お前知ってるか?」
『知ってるも何も、私がここに呼んだんだよ。扇のオッサンの名前借りてね』
「は?」
私はナイスガイくんの裾を掴んだまま、クソ野郎共に気付かれないようあとをつける。
ナイスガイくんもずっと不審がってはいるが、気になるからか何も言わずについてきてくれた。
そうして数分。流石にしびれを切らしたのか、あとをつけながらナイスガイくんは口を開いた。
「おいガキ、いい加減説明しろ」
さすがに話さないとヤバいかな。私はクソ野郎共から目を離さないようにしつつ、ナイスガイくんに説明をすることにした。
『簡単に言うと、アイツらに呪霊をけしかける』
「…あ?どうやってだ?」
『明日、躯倶留隊はこの森で屋外演習を行うんだ。そのため前日に飼い慣らされた準一級呪霊が配置され、恐らくだけど、朝四時辺りから演習が始まる』
で、今私達がいるのはその呪霊のテリトリー外。呪霊はもっと奥にいるよ。
そう教えると、ナイスガイくんは目を見開いて、少しの間言葉を失った。
「……オマエ、それどうやって知った?」
『演習のこと?ちょうどその旨の…書類?を届けるよう頼まれた時にこっそり読んだんだ。そんでそっから色々と情報集めて、扇のオッサンからの呼び出しに偽装してアイツらを罠に嵌めることにしたんだ』
うん、我ながら完璧すぎる!私にはこれほどまでに策士の才能があったんだな!ノーベル賞も夢じゃないぜ!
だが私が内心自画自賛する反面、ナイスガイくんは焦ったような、怒ったような表情をした。
「オマエっ、扇の名前使ったのか?!」
『え、うん。なんかダメだった?』
「バレたらどうすんだよ!アイツは一番こういうの知られちゃまずいだろ!」
『えっ』
───オニイサン、そんなこと心配してるの?
私が思わずそう言うと、ナイスガイくんは目をぱちくりとさせ「は?」と漏らした。
『バレるも何も………死体は喋らないでしょ?』
「……………」
ナイスガイくんはポカンと口を開ける。言葉通り、開いた口が塞がらないというような様子をしていた。
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アリス(プロフ) - めちゃくちゃ良かったです( ˙˘˙ ) (2022年3月10日 23時) (レス) @page14 id: 5459160ee1 (このIDを非表示/違反報告)
AG2(プロフ) - ボーダーラインさん» そう言って貰えて嬉しいです!応援ありがとうございます!頑張ります! (2022年3月10日 17時) (レス) id: b5fe911f2a (このIDを非表示/違反報告)
ボーダーライン(プロフ) - キャプションで食いついて一気に拝読させて頂きました。あー主人公の性格好き!「下剋上して♡」の団扇とペンラを振りながら読んでしまった…。甚爾に最後で爆弾を投下していくスタイル、いいですねぇ。五条との邂逅も気になる〜!ペンラ振って更新待ってます!! (2022年3月10日 16時) (レス) id: 6d6b1b008a (このIDを非表示/違反報告)
AG2(プロフ) - アリスさん» ありがとうございます!がんばります! (2022年3月9日 18時) (レス) id: b5fe911f2a (このIDを非表示/違反報告)
アリス(プロフ) - 更新待ってます!! (2022年3月9日 5時) (レス) @page8 id: 5459160ee1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:蝋燭 | 作成日時:2022年3月7日 21時