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83話○過去の闇 ページ10

「お前の能を欲しておるのじゃ…」


あ「ぇ……?」

部屋がシン…、と静まり返る。
Aを真っ直ぐに見つめるその瞳には、只々漆黒の闇が渦巻いていた。

羽衣「何も知らんのかぇ…?
お前のその瞳、羅針の瞳を使えば…我宿願を叶える事なんぞ容易い」

あ「…っ。
し、知らないもんっ、Aの眼はそんな変なのじゃない!!」

パシッ

頬へと延びてきた冷たい腕を払うと、目の前の女はニヤリと薄く笑った。

羽衣「フフフ、…無知とは可愛いモノじゃのぉ。

夜兎か…。
この世にはもう数える程もおらんじゃろうに、一族の血を絶やしたく無ければ妾の言うことを聞け。

…お前の兄が、同族と同じ末路を辿らぬようにするためにも」

あ「同族…?」


羽衣「…お前の両親は、お前のその瞳を狙った輩によって殺された。村に住んでいた夜兎達も全てじゃ。

その時の生き残りは、お前と兄の二人。

分かるか?
お前が同族を、両親を殺したのじゃ」

あ「わたし、が…」





まだ幼い頃、Aは一度だけ兄に聞いたことがあった


幼あ『おにぃちゃん、』

幼神『ん?どうしたの?』

幼あ『どーしてAには、おかーさんとおとーさんがいないの?』

幼いAは、ただ単純に気になっていたことを聞いただけのつもりだった


幼神『…ぇ、とネ?
えっと…。と、遠いところに行ったんだヨ』

幼あ『とおいところー?ふ〜ん…。
ね、ね、あっちであそぼー!!』

幼神『ぁ、うん…行こうか』


咄嗟に出た兄の偽りに、真偽を疑う事はなかったが、

幼神『……、』


幼あ『……??』

微かに表情を歪めた兄の瞳から、一滴の水が落ちたのははっきりと分かった

84話○堕ちるモノ→←82話○黒と朱



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- この話大好きです!更新頑張って下さい! (2016年9月3日 0時) (レス) id: 1b13281dea (このIDを非表示/違反報告)
夜桜 十六夜(プロフ) - 更新待ってま〜す! (2015年4月3日 0時) (レス) id: d7537b17c1 (このIDを非表示/違反報告)
布団蓑虫(っ´ω`c) - すっっっっごい面白いです(≧∇≦)this is DOD(ディスイズゴットあってます?)続き待ってます((((*゜▽゜*)))) (2014年11月4日 19時) (レス) id: 7630af5122 (このIDを非表示/違反報告)
レンレン(プロフ) - 続きが楽しみ!更新頑張って下さい!(⌒▽⌒) (2014年7月20日 12時) (レス) id: aeef68e56f (このIDを非表示/違反報告)
練 白珱 - 神威大好きだぜ! (2014年7月15日 17時) (レス) id: 160c54893e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:藍帝 | 作成日時:2014年1月11日 21時

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