82話○黒と朱 ページ9
__もう、大切なひとを失いたくはない
ガッ
再び起き上がろうとする神威の肩をイタクが掴む。
神「 ! !離せヨっ」
イ「そんな体で行って何が出来んだよ!!
大体、お前があんな無茶をAにさせなきゃ土蜘蛛に捕まることになんかならなかったんだよッ!!!!」
神「…あれは!!
あーでもしてなきゃ、土蜘蛛のやりたい放題だったから…ッ!!」
俯く神威の胸ぐらを掴み、イタクは自分と強引に目線を合わさせる。
イ「オレ達はそんなに柔じゃねぇ!!
現に誰一人死んじゃいねーだろうが!!!!
Aを敵方に渡しちゃなんねぇ事はお前が一番知ってんだろ!?
どーすんだよ……Aに何かあったら……」
力なくイタクが項垂れる。
神「…ごめん、」
イ「…謝んなら早く怪我治せ、Aを探し出す」
神「うん。……あのさ」
イ「あ?」
神「今のところ、Aは殺されないって…アイツが言ってた」
イ「…なんで言い切れんだ」
神「Aの瞳は持ち主が生きていないと能を使えないんだって…。
これは本当の事だヨ、赤河童様も言ってた」
イ「…しばらくは大丈夫って事か」
その“しばらく”がいつまでなのか。考え込むイタクに神威が問う。
神「そういえばさ、リクオは?」
イ「あー奴良組の奴が連れてった。鍛えるらしーぜ」
神「ふーん…」
(A……直ぐに助けに行くからネ)
頭上の三日月を見上げた
弐條城の一室
カーテン、ベッド、机…全てが黒で統一された部屋の中。
「……ん、」
真っ黒なシーツから、鮮やかな朱色と白い肌が覗いた。
ぱち、と目を開きゆっくりと起き上がる。
その拍子に腰ほどはないが長い髪がハラリと落ちてきた。
あ「…ぼんぼりが無い…服も変わってる……。ここはどこ…??」
次第に数時間前にあった出来事が頭を掠める。
(そうだ…土蜘蛛に捕まって……それから、どうなったんだろう)
だんだんと、寂しさに襲われてくる。と、突然コンコン…と扉がノックされた
あ「…はい」
入ってきたのは黒髪を揺らし、スラリとした外見の“女性”…羽衣狐だった。
羽衣「目が覚めたか。具合はどうじゃ?」
あ「あ、えと…大丈夫です。
お姉さんはだれですか?後、ここはどこですか?」
羽衣「…ここは弐條城、妾の城じゃ。
妾の名は……羽衣狐」
スッ、と部屋の温度が下がる。体が金縛りにあったように動けなくなった。
羽衣「そう怯えるな。
お前を殺そうとは思うておらん…妾はお前の能を欲しておるのじゃ」
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夜 - この話大好きです!更新頑張って下さい! (2016年9月3日 0時) (レス) id: 1b13281dea (このIDを非表示/違反報告)
夜桜 十六夜(プロフ) - 更新待ってま〜す! (2015年4月3日 0時) (レス) id: d7537b17c1 (このIDを非表示/違反報告)
布団蓑虫(っ´ω`c) - すっっっっごい面白いです(≧∇≦)this is DOD(ディスイズゴットあってます?)続き待ってます((((*゜▽゜*)))) (2014年11月4日 19時) (レス) id: 7630af5122 (このIDを非表示/違反報告)
レンレン(プロフ) - 続きが楽しみ!更新頑張って下さい!(⌒▽⌒) (2014年7月20日 12時) (レス) id: aeef68e56f (このIDを非表示/違反報告)
練 白珱 - 神威大好きだぜ! (2014年7月15日 17時) (レス) id: 160c54893e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:藍帝 | 作成日時:2014年1月11日 21時