第五話 ページ7
＿その夜＿
慣れない人混みに疲れたのか、傑が落ち着かず、眠れないでいた。
prrrr…
『…！もしもし。』
"「突然ごめんね？夜だってわかってたんだけど、なんだか急に心配になっちゃって…」"
『いえ、今日は傑が落ち着かなくて、なかなか寝付けなかったんです。…乙骨先輩。』
乙骨憂太先輩。
一年前出会った私と同じ境遇の人。
呪いの女王とも比喩される特級過呪怨霊、祈本里香さんの被呪者だった人。
孤独だった私の相談相手になってくれた人。
"「…何かあったの？」"
『私、今日原宿に行ってきたんです。』
"「えええ！？め、珍しい…！」"
『新しいクラスメイトを迎えに行ったんですけど、そこでしつこいモデル勧誘に合ったのと合わせて、クラスメイトに攻撃されそうになったんです。』
"「ははは…僕も初めて高専に来たときはそうだったなあ…」"
懐かしむように話し始める乙骨先輩の声に耳を傾けていると、後ろから傑に抱きしめられる。
傑が睨む先には私の持つスマホ。
「Aえええ、だあれえとはなしてるのおおおおお！」
『乙骨先輩だよ。』
「ゆ、ゆううたあああ？」
"「そうですよ傑さん。Aちゃんの事独り占めしちゃってごめんなさい…」"
「うううう…」
私が乙骨先輩を尊敬していることを知っているからか、唸るだけでスマホを握り潰すことはしない。
"「ごめんねAちゃん、ちょっと傑さんの機嫌損ねちゃったかも…今日はこれでお暇するよ。」"
『はい、こちらこそすみません。では、さよ…。』
＿＿またな司埼！
『また。』
"「…！今日はほんとに珍しい日だ。うん、またね。」"
嬉しそうな返事を最後に乙骨先輩との通話は切れた。
『…傑、もう落ち着いて寝よう？』
「わあああたしいいいのおおおおな、Aええええなああのにいいい」
『そう、傑の私だよ。どうしたの？不安？』
すがりついてくる傑の頭を撫でながらベッドに移動する。
「おおおおきくなああああっったらあ"ああ"けえええっっこおおおんんするう"う"う"う"！」
小さい頃から聞いていたその言葉を、私も繰り返す。
『傑と私は、大人になったら、結婚する。約束だよ。』
約束、約束、と何度か繰り返したあと、満足したのか傑は大人しく戻っていった。
それを確認すると、私は目を閉じて、眠りについた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1467人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
K飴(プロフ) - 蒼尾さん» いえいえ！お気になさらず！😌 (2022年3月21日 1時) (
レス) @page25 id: fa92fa8cbc (このIDを非表示/違反報告)
蒼尾 - やっぱり題名が同じだと失礼な気がするので辞めておきます。理由としては内容が少し被ってしまうというのがあってそれだとパクってしまったという感じになってしまうので。すいませんでした。 (2022年3月20日 18時) (レス) id: d5f83f6be7 (このIDを非表示/違反報告)
K飴(プロフ) - 蒼尾さん» コメントありがとうございます！内容が同じでなければ全然大丈夫ですよ！😊 (2022年3月19日 14時) (レス) id: fa92fa8cbc (このIDを非表示/違反報告)
蒼尾 - 最後まで見ました！とても見るのが楽しかったです！あの無理だったらいいんですが、他のアプリで題名は同じなんですが内容はちがう小説って作っても大丈夫ですか？あと、無理せずに自分のペースで更新してってくださいね！ (2022年3月18日 23時) (レス) id: d5f83f6be7 (このIDを非表示/違反報告)
K飴(プロフ) - シオリさん» コメントありがとうございます〜！！😭激遅更新ですが、頑張ってもらわせます！！ (2022年2月21日 14時) (レス) id: fa92fa8cbc (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：K飴 | 作成日時：2021年12月29日 19時
