どうやら私はさつきに敵対視されてるようです。【黒子のバスケ】

第25Q ページ26

青峰side


「A、どうした？」


いつもの笑顔が消え、ぼぅとするAに俺は声をかけた。


返ってきたのは、『なんでもないよ』いつもより低いトーンの言葉と、作り笑顔。


その言葉がすぐ嘘だとわかったのは、多分この間テツが言っていた癖を覚えていたから。




「お前今、嘘ついたろ

右手握ってたし、笑ったときの口角の高さが左右違った。」



カミングアウトすると、Aは何かを諦めたように、クスッと笑った。

そして、鼻を触った。



これも、この間聞いた癖だ。


お前は･･･今



泣きたいのか？



何か声をかけようとしたら、あいつは顔を伏せ、体育館の外へとゆっくり進み出した。



俺は思うより前にそのあとを追った。






体育館の壁に背をつけ、座り込むA。


はぁ、と長いため息をつき、抱えていた膝に顔を埋めた。


綺麗な黒髪に手を置く。


「ため息つくと幸せ逃げんぞ。」



からかって言ってみる。



『ため息つかないと、幸せが入る場所がなくなっちゃうでしょ？』


「なんだ？その屁理屈は」
『悪かったね、どーせ、屁理屈ですよーだ』



いつものやり取り




だけどやっぱり、元気がねぇな



俺はAの隣にに座ると、無意識に肩を引っ張り俺の方に引き寄せた。



『だ、いき？』


「泣きたいときは泣け。理由は聞かん。

でも、泣きそうなときは俺のところにこい。独りでは泣くな。」


柄にもねぇが、こいつが苦しそうにするのは見たくねぇって思いの方が強い。


肩を揺らしながら、俺の腕の中で泣くAの頭を撫で続ける。



お前をこんなにも苦しめてるのは、なんだ？






「元気出せよ」




そんな在り来りな言葉しか言えなかった。

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