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太 宰 治【終】 ページ7








「………嗚呼ッ、私は何て馬鹿なんだ、っ」


その考えが浮かんだ時、
涙が溢れた。止まらなかった。



何時か復、君を愛したい。



否、君に復出会って一緒に生涯を終えるまで、


君を愛すよ。

















「ねぇ、名字貰ってくれない?」



「付き合い初めて二日目ですけど、」
「君に恋して五年経ってるし、婚約指輪も買ったんだよ?」
「指輪を買ったから直ぐ結婚なんて有り得ませんね」




昼間。
私たちは社長直々にまかされた任務を終えた計の帰り道。人が多い中、今後どう愛し合っていくかについて考えていた(Aは考えてない)。

何処か怠惰であるが仕事はこなす彼女を私が惚れ込んだのだが、彼女は女性として、美しくもあった。
大きな目に開く度にぱちぱちとなりそうな長い睫毛、すっと通った鼻。今すぐ貪るように奪ってやりたい淡い赤の唇。




「何ですか、?」
「私のお嫁さんが一番美しいって思って、」
「嫁じゃないです」
「誰も君をお嫁さんとは言ってない







_____嫁になる気はあるんだね」



そう言えば、彼女は頬を赤らめた。普段は隔靴掻痒の感じがあるのにこういう処が愛らしい。







______「!!A!!!!!」









「えッ…?」






ガシャァンッッッ!!!!!!!









何が起こってるか一瞬分からなかった。





アスファルトは紅くなり、広がり、
トラックはぐしゃりと、電柱にぶつかり、
周りの人はざわめき、悲鳴をあげる。







「A…、…A!!!!!!」





「オサム………、ぐは、っ……」


「喋るな!!!…与謝野先生を呼ぶ、からっ、待って、」
「死んじゃ、死んじゃ駄目だ!!!!」
「まだ、二日だけしか、嫌ッ、行かないでくれ、」




「治………、」





落ち着いて、と口が動いた。
声が出ていなかった。


悲しげな笑顔が、目に焼き付いた。









____「ごめんなさい…ね、貴男、」





















彼女はその後、何も言わなかった。


最後の言葉は
死んでしまってごめんなさい、という意味だろう。





「貴男…………」







今も彼女が最後に言った貴男の意味が分からない。治、でも良かった筈だ。






「結婚していたらどうなっていただろう」




__彼女はどんな姿なのだろう。
__子供は、いたのだろうか。
__彼女の料理は美味しいのだろうか。

彼女は、今でも目焼き付いている唇から、




私を、








____何と呼ぶだろうか。

太 宰 治 *→← 中 島 敦 *



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拗らせた - 病んでるちゅうやさん滅茶苦茶好き……個人的にいい具合に狂ってて最高です。 (2022年1月10日 3時) (レス) @page12 id: 14fc8cff86 (このIDを非表示/違反報告)
凛花(プロフ) - 中也さんカッコイイ(o´艸`) (2017年7月2日 22時) (レス) id: ca83106bac (このIDを非表示/違反報告)
*めろん*(プロフ) - とても素敵な作品ですね…!!これからも更新頑張って下さいヽ(*´∀`)ノ (2017年4月30日 10時) (レス) id: d1fab937f2 (このIDを非表示/違反報告)
るーみっくわーるど大好きアニオタ(プロフ) - リクエスト良いですか?。中也さんで・・・カゲロウデイズを!。お願いします! (2017年4月23日 12時) (レス) id: d405c935fc (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:林檎雨 | 作成日時:2017年4月7日 21時

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