少年 と 施設〜1 ページ10
わからない。
最初に知ったのはこの薄暗い部屋。
次に知ったのは周りにいる自分と同じくらいの人。
最後に知ったのは繋がれた鎖だった。
「どっから拐って来たんだよこのガキども」
「上からの命令さ。見ろ、体に刺青があるだろ」
「なるほど。忌み子の印か」
「好きに扱っていいとよ。何からする?」
「少年趣味はねぇんだけどな。まぁイイ声でなきそうだ」
「ちげぇよ、薬とかのこと。別にそっち目的でもいいかも知れないがな」
ゲハハと笑った男達に、ﾋｯと隣にいた人が声を上げた。
少年は訳がわからないと言う風に目の前にいる男を見上げる。
「001から013まで。これからよろしくな」
鉄格子からの視線。
それから何も知らない少年は目を反らした。
これより。地獄がはじまる。
***
この施設に来て三年たった。
少年達は無知のままだった。
ただただ。彼らが行う“普通”に従うだけだった。
○月●日。
002が男をなぐった。
かれはまたいたいへやにつれてかれた。
○月△日。
006とおはなしをした。
かみさまはいますかときいたら、いないといった。
001はそうかとおもった。
○月▲日。
008はあばれんぼうだ。
よく010や002。003や005と男たちみたいになぐりあいっこしている。
001はやめろといった。みんなやめた。
○月☆日。
013も012も011も009もしずかだ。ぜんぜんはなさない。
001がはなしかけたらこたえてくれた。
わるいひとじゃないみたい。
○月◇日
004と007はあたまがいい。001よりあたまがいい。すごいといったらかおをあかくしていた。001もああなりたい。
●月○日。
きょうはおくすりのひです。いたいです。でもあかるいとこにつれていってもらえる。いいこにしていればだいじょうぶ。だいじょうぶや。
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作者名：べっこう飴エ | 作成日時：2017年9月3日 18時
