彼女 と 過去〜1 ページ9
私室に入った途端、Aは目の前にあったイスを蹴り砕いた。
垂直に砕けたイスの破片が足に突き刺さるのも気にせず、ベッドへと向かう。
トントンが声をかける暇なんてなかった。
『ほっといて』
静かに言い放つA。
今までに聞いたことのないほど感情がない声に、目を見開くトントン。
だらだらと彼女の足から流れた血がシーツを赤く染めはじめる。
普段からかけ離れたあまりの荒れように固まる彼に、彼女は再度言い放つ。
『ほっといて。今は一人にしてほしいから』
目線がかち合った。
ｿﾞﾜﾘ、とトントンの心臓が恐怖に鷲掴みにされる。
今この人と一緒にいたら不味い。
多分、*される。
「わかったよ」
最大限に明るく呟いた。
彼は静かに退出する。
残った彼女は＿＿
***
「……Aは」
通路を歩いていたトントンにそう声がかかった。
それにトントンは振り向き、心底可笑しいような顔をする。
目の前でギチリと強すぎる位に腕を組んでいる彼に、なんでもないと言う風に告げた。
「昔の俺たちまんま」
その発言に彼、グルッペンは顔をしかめる。
その様子に溜め息をついたトントンは、手を招いて言った。
「ちょっと昔話をしようや。グルッペン」
「……ああ」
カツリカツリ。
二人の男の間を埋めるように音が響く。
ガチャリと大和軍用の会議室に入った二人は、近くの椅子に腰を下ろした。
ハハハと乾いた声で笑ってから、トントンは口を開いた。
「やんちゃしてたよな〜本当」
「そうやな。お前はどこ行ってた?」
「俺は案の定ロシアの方だね。そっちは確かドイツか」
「ああ。案の定興味があってな」
「最初の頃、覚えとる?」
「もちろん」
**
これより遡るは。
とある施設にいたモルモットと
それを拐った**の話
***
胸くそ悪い表現があります。
彼らがひどいめにあっていますが、作者からの悪意はまったくないです。
こころして見よ。
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作者名：べっこう飴エ | 作成日時：2017年9月3日 18時
