【wrwrd】どえむな彼女に、悪戯とか意味あるの?～2【軍パロ】 (ページ8)

今日:13 hit、昨日:0 hit、合計:32,275 hit

彼女　と　嫌な予感～2 ページ8

「【暴走癖】の名前、貰ったら?」
『よせやい』

【暴走癖】なんてコネシマやゾムと肩を並べるほど私はぶっ飛んでいない。
そうAは言おうと思ったが、どうせ可哀想な目をされるだけなのでやめた。

それよりもユリである。
いくら色々あったとしても、彼女はAの大切な＿＿

「体調不良ですか?」
「原因不明でさっぱりわからないのです。今手術をしています」

兄さんと供物野郎の声が彼女に届く。
意識は大分落ち着いてきた。頭は相変わらず回らないままだが、気持ちだけは整理できる。

……今のAに出来ることは何もない。

まだ、まだ、まだ、
ユリが目覚めるまで、何もできない。

ポン、と誰かに肩を叩かれた。Aが振りかえればそこに見えるのは赤服の男性。

Aの濁り腐りきった目を見た彼は、苦く笑んだ。納得と驚きを悟られないように、静かに呟く。

「行くでA。この場は兄さんにまかせよう」

『とん、と………』

「いいから。行くで」

トントンはしっかりAの目を見つめた。呑み込まれそうなほどに暗い瞳は、一滴の光も許さない。壁を作って光を遮断している。

それを見て、余計にここにいさせられない。とトントンは固く思った。
こんな権力の塊集団と一緒にいたら、Aが毒されてしまう。
彼女が壊れてしまったら、俺たちはどう皮を剥ぐかわかったもんじゃない。

そのままA手を引いて。
二人はその部屋を抜け出した。

扉から出た通路。すれ違いに作戦会議を終えた仲間に出会う。

アイコンタクトを交わした後、トントンはうつ向いたままのAを連れて、彼女の私室に向かった。

後ろで【最終警告】グルッペンの声が聞こえる。大丈夫、あいつはこの軍の中で指折りで頭がいい。

今日はオスマンもエーミールもいる。交渉ごとなら負ける気はしない。

「大丈夫やA。ユリちゃんは丈夫な子や。これくらいじゃいなくならない」

『……』

Aは無言だった。