甘え薬 と 彼〜2 ページ31
仕事場からドアを挟んで寝室。ベッドまでA肩を借りて運ばれた俺。眼鏡をとられ、俺はベッドに横たわった。
何故か妙にフワフワしている。酒に酔ったときとは違う高揚感。
『では、おやすみ』
「…あ〜、待てや」
遠ざかるAの手をひいた。
手に触れていた暖かさが戻ってきてひとまず安心する。
その中で俺は普段ならあり得ないようなことを口走っていた。
「……おやすみの、ちゅーは?」
『…いやあれ君が六歳の頃のじゃんよ』
「いややぁ……アレないと眠れん……」
『(甘え薬効き目ヤバいな)そんなお気に入りの人形みたいな……もう、しょうがないわぁ』
本当にしょうがないと言わんばかりの声音に俺はしてやったりと笑む。
Aの返事に甘えるような声で応えて俺は身じろぎをひとつした。
早くしろという催促である。
Aは仕方なさそうに呟いた。
「最近はユリにしかしなかったんだけどなぁ……」
その声には?と俺の身が固まる。身の内側が焦がれていくような気分になった。
なんだよ、それ今言うことか?
不機嫌になった俺は薄く目を開けてAを見る。
俺の顔の右側に手を置いてキスをひとつ額に落とそうとするAが見えた。
くっそ、格好いいな。中性的な顔立ちだからそこらの男より断然様になってるだろう。
『』
「ん……」
額に柔らかい感触が広がり、黒く艶のある髪が鼻をくすぐる。
顔をあげた時の彼女のその表情に胸が疼いた。それに対し俺は、女みたいだな、と内心苦笑。
だけど、もうこんな程度じゃ満足できねぇ。
『!?』
「……」
ｸﾞｲｯとそのしなやかな腕を引っ張って自身の方に倒れさせる。
俺は覆い被さるような体型になった彼女を横にし、抱き締めた。
ぐ、グルちゃん!?と焦ったように言う彼女に俺は優越感を感じてﾆﾔﾆﾔと笑う。
「ビックリしたやろ?」
『心臓に悪いわ〜』
「……もっとビックリさせてやる」
『…!?』
そのいまだある余裕さが癪に触った。
俺は腰に回していた手でAのふとももをおさえ、自分の足と足の間へと押し付ける。
熱を持ち始めたソレは少し過敏になっていて、甘い声が口から漏れた。
「大きくなったやろ?」
『セクハラだっ!!』
「…身長のことや」
『ｯ謀ったなおまえぇ!!』
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作者名：べっこう飴エ | 作成日時：2017年9月3日 18時
