妹たち と 姉だったモノ〜3 ページ25
第三者もどき目線
ﾀﾞﾀﾞﾀﾞﾀﾞﾀﾞﾀﾞﾀﾞと凄まじい量の弾幕がはられる。
狙撃班と援護班のものだ。
そしてその隙間を縫うようにして接近班が宙に漂う黒い刃を切り裂く。
コネシマもその中、ユリの手を引いて走っていた。
「……あ」
残り5mの地点になった。
そこで彼らの“制御”は終わる。
Aはもう、暴れてなどいなかった。
『……なんで、なん、で……』
順調に進み過ぎていた理由はこれだった。
Aはその小さい体を抱えてうずくまっていた。
いつもは広く頼もしく見えていた背中が、いきなり小さく見えた。
『……きらいに、なれよぉっ……ｯもう私にかまわなくていいんだよっ……すておけばいいじゃんか……なんで助けようとするんだよっ……私は、私には、バケモノには、そんな価値ないのに……なんで貴方達は……ｯまた……もう…ｯ…なんで……なんでｯ』
ぽろぽろと。
彼女の玉色と黒色の瞳からは涙が流れていた。
そんな彼女の初めてみる“弱さ”に、彼らは動きを止める。
『くそっ……こわがれよ…うらめよぉｯ……ころしたいほど私をにくめよ……ッどうして私が生きているだけで、そんなに笑うんだよ……ｯ私からっ……私だけが……貴方達をｯ』
愛していればそれで良かったのに。
その声は彼らには決して届かない。
「A姉さん。……地球さん」
『ｯ違うっ!!私はその……人じゃない!』
「“ア”ザトー“ス”様。アース様。それで地球なんですね」
『違う違う違う!!私は、その人のように貴方たちを幸せにはしてないっ!!貴方たちを、』
「私は貴方に生きる意味を教えられました。私は貴方に、たくさんの感情を教えて貰いました」
『やめろ』
「あの夜、貴方の話を聞いたとき、私は貴方を憎みました。だから私は貴方を」
『やめろよっ』
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作者名：べっこう飴エ | 作成日時：2017年9月3日 18時
