【wrwrd】どえむな彼女に、悪戯とか意味あるの?～2【軍パロ】 (ページ23)

今日:3 hit、昨日:0 hit、合計:32,265 hit

妹　と　姉だったモノ～1 ページ23

ある夜のことだった。
私、ユリは妙な感覚に目を覚ます。
体が重かった。それなのに、脳は冴えわたっていた。
そんな私の耳に言葉が届く。
全ての起点が。

【いつまで続けるつもりなのですか。A様】

不思議な声色だった。
そこに聞き慣れた声が響く。

【元に戻すまでだよ、ニャル】

A姉さんの声だった。

【そのためだけに人間に力を分け与えたと?それも丁寧に刺青(印)をしてまで?】

【運動神経に特化させれば戦闘面はカバーできる。この道にまで来てしまったんだ、あとは予定調和でうまく動く】

力を与えた……?刺青……?道……?予定調和……?

【“地球”と名のって世話してまでも、それは行わなければいけない行為だったんですか?私は、主であり神である貴方ならそんなことはしなくても】

【必要さ。なぁにニャルちゃん嫉妬～?随分と人間らしくなったじゃな～い】

【ｯそんなこと有り得ません。私があの軽蔑対象ごときになり下がるなど】

【いいのいいの。誰も嘲笑ったりしないよ。ま、このまま進めば安泰なんだよ……

すべては掌の上の演劇だからね】

はははと乾いた笑いの末、電気を消したように声は一切しなくなった。

……。

明日、話をしよう。

***
コネシマ目線

『あっはははははははははひぃっはははははははははははははははははは』

タガが外れたように笑い続けるA。
自称【必要悪】。その通りの暴れｯぷりだった。

「ｯ姉さ」
「下がれユリ!!」

ﾋｭﾝﾋｭﾝと黒い刃が飛び交うなか、手を伸ばしたユリを俺は突き飛ばす。
アホちゃうか!と怒鳴ってから俺はナイフを一度構えた。

目でその刃はおえる。
だけど、

「(手が、動かへん……ｯ)」

それが術やらなんやらの魔法的なもんでないことはすぐわかった。
弱虫を嫌う自分だから余計にわかるんや。

……俺はAに刃を向けれない。
“攻撃”が、できない。

だが、それを自覚したところで俺は何の行動も起こせない。

見ていることしか、できない。

…いや、ええんかそれで?
本当に、ええんか?
後悔せぇひん?
自分の手で恩人を助けれることを、人様に放り投げてええんか?
俺は隅で丸くなって、弱虫やっててええんか?
あんなに

……あんなに苦しんでいる子を、放っといてええんか?

「ユリ、やっぱ力貸してくれや!!」

できるわけないだろうが。