彼女 と 義妹〜1 ページ18
書き方が変わります。
申し訳ありません。
***
走ってすぐの距離。そこに妹がいる部屋がある。
私は厳重にはってあったセキュリティを全部ぶっ壊して、ドアを開いた。
無遠慮?今の私はこういう気分なんだよ。
「ｯ……Aさん……」
そんな震えた声で言わないでよユリ。
また姉さんとよんでくれよ。
案の定、ユリは手術中なんかじゃなかった。
立ち上がってこちらを見据えているユリに私は目をあわせない。
私の目線は左手にあった。
包帯に巻かれた、左手。
「ｯ裏切り者がなんのようですか?」
裏切り者とはこれまた酷いな。
「裏切り者だｯ!私を、皆を騙しているくせに!!」
手を振り上げたと思っていたらユリは果物ナイフを投げつけてきた。可哀想に。このナイフは血を流すためのもんじゃない。
私は素直に腕で受け止める。
ユリは泣きそうだった。
「ｯ貴女何とも思っていないの!?」
『……』
「私は悔しいの本当に!貴女は私の家族を奪っていった!私は皆に愛されていたのに、私も皆を愛していたのに!その均衡を平和を貴女は壊したの!私達の幸せを崩したの!!」
『お前はアレを相思相愛だったと言いたいの?』
荒れに荒れていたユリの家族。もとい大和軍メンツ。
あの日ナイフを振り上げた彼らに、君は愛されていたと言えんの?
家族に牙をむかれたんだよ。
アレはただのオモチャを壊す顔だった。
愛している人に、そんな愛憎もクソもない瞳でナイフを振り上げるのか?
それを愛せると本気でユリは言えるのか?
「煩い!人間じゃないくせに!!私たちを改造したくせに!!」
『ｯ……』
痛いところをつかれた。
ついでにナイフも抜いた。痛い。血は出ない。
「私は聞いていたの!あの夜の会話!!頭に染み付いて離れないの!!!」
遂にユリは泣き出した。
溢れる涙を拭かずに此方を睨むユリ。
誰にもバレてないと思ったのにな。だからユリは次の日に私をよんで……
「私たちのこの異常なまでの運動神経は貴女から分け与えて貰ったって本当なの?」
……
「私たちが歩いてきた道は全部貴女の手のひらの上って本当なの?」
…………
「貴女が地球さんだって本当なの?」
………………
「貴女が神様だっていうのは本当なの?」
ユリｯ!!
ﾊﾞｸﾞﾝｯと何かが口を閉じる音がした。
(私はね、ユリ。
貴方がね。
大好きなんだよ。
食って腹にいれたいくらいに。)
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作者名：べっこう飴エ | 作成日時：2017年9月3日 18時
