彼女 と 妹〜1 ページ16
『はは、ははは……いたぁい……』
Aはベッドに寝転がり、空中を眺めていた。
一目瞭然で異常である。
『いたぁいいたぁい……生きているって素晴らしいねぇ〜。痛みがあるからこそ生きいてるとわかるのさ。痛みをともなわずして人生とは言えん!つって〜』
玉色と黒の瞳。
体を包む黒と微かな灰色。
溶けかけている腕。
炎のように揺らめく髪。
触手のようにうごめく闇。
蹄の脚。
以上。
それを人と呼ぶにはあまりにも邪悪過ぎると大半の人間は言うだろう。
否、
こんなものを認識すらしたくはないと叫ぶだろう。
『……はぁ、くっだらねぇわ。パッパラパーはもうやめにしよう』
脳ないからっぽに飽きたわアホ。てか最近の流行りはこういう頭オカシイ系じゃないよね。
そんなことを考えながらも、彼女は大事なことを思考する。
頭は完璧に冷えたようだった。
『……ユリに会いにいくか』
Aはﾎﾞｿﾘと呟いた。
よくよく考えてみれば、激昂なんかしなくても……いや、あれは威嚇と圧力と演出としてしてよかったのか?
とにかく、今のAには原因不明を治す力はない。断言する。
ま、だったらやれないことよりやれることを考えるというのが彼女の思考回路である。
薬探しやら犯人探しやらなんやらより、本人に話しを聞くのが一番だろう。サスペンスでも生きているのなら被害者から話を聞くものだ。
『手術と言ってもカウンセリング程度じゃねーの。原因不明で手術とか*すきマンマン過ぎるでしょ。どうせ口実なんですよ口実』
徐々に人間型に戻っていく体感のなか、Aは皮肉的に口の端をあげた。
『あ〜、本当にむしゃむしゃする』
あ、違った。とA。
むしゃくしゃする。
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作者名：べっこう飴エ | 作成日時：2017年9月3日 18時
