She does not put a lie. (ページ4)

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恋愛禁止とは、はて。ページ4

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練習生の頃、練習生同士であれとそれが
付き合ってるだのあっちとそっちは別れただの
まあそりゃあ年頃の男女ですから
不思議な話じゃないんだけど、

そんな私だって1人の男の人を
純粋な気持ちで好きになった。

彼は歳上だけど練習生になるのが
遅かったと思う。今考えたらだけど。

そんなのを感じさせないように
たくさんの努力をして、
人とのコミュニケーションの取り方もうまいから
気づいたらもうみんなからの人気者で
あっという間に輪の中心にいて、
なのに気取ってなくてそんな彼に惹かれてる子は
たくさんいて、私もその中の1人だった。

あるときの歌のレッスンの課題が
デュエットだったんだけど
くじ引きでペアを決めたら
幸運にもその彼と組むことができて。

そのデュエットをきっかけに
彼との距離はぐんと縮まって、

レッスン終わりに内緒でチキンを食べに行ったり、
朝方になるまで公園でお話ししたり
家まで送ってもらったり、

小さなことだけど
私たちにとってはかけがえのない
時間だったと思う。

仲のいい子からは
何で付き合わないの、勿体ない。って

あぁ、私たちって付き合ってても
おかしくないくらいの距離感なのか

周りにそう思われてるだけで
少し嬉しくなって優越感みたいなのまで芽生えて。

告白してくれないかなー
次会ったら私から言っちゃおうかな。なんて

そしたらいつのまにか同じ教室に
彼とその周り数人のメンバーの姿は見えなくなって

もちろん連絡したけど返ってこなくて。

噂によると、"デビューするらしいよ"って。

先を越されたーとかよりも
もしそうなら何で言ってくれないのって
ムカついて。そっちの気持ちの方が強くて。

それから数ヶ月過ぎた頃、

デュエットの練習でよく使ってた
レコーディング室の前を通ったら
下を向いてスマホをいじってる彼の姿が
見えて思わず声をかけた。

少し痩せたかな、デビューの準備
もしかして忙しいのかな

いつも大事に使ってたスマホじゃなくて
新しいのに変わってたからなぜか聞いてみたら

今は事務所から支給されたやつしか使えない
毎日デビューに向けてのレッスンと
宿舎の往復しかしてないって言ってた

大変そうだねっていうと

そんなことないって変わらない笑顔で言うから
なんか苦しくなって。

でもデビュー決まってよかったねというと

Aも頑張れ、先に待ってるからって

ありがとう、としか言えなくて

じゃ、迎え来たからいくわって
去る後ろ姿を見送ることしかできなかった