二、甘酸っぱい ページ3
「ナオミちゃん今日も可愛いね」
出会い早々、隣にいる彼氏をほっぽりだし、ナオミの手を握る。
Aの目は、太陽にも負けず、ギラギラ輝いている。
「さぁ、約束した季節限定のスイーツでも食べにいこう」
手を引っ張り、店へと向かう。
取り残された潤一郎は、何時ものこと。
でも、少し悲しくなる。
*
「はい、あーん」
フォークでカットした、ケーキを差し出す。
勿論差し出されているのは、潤一郎ではなく、妹のナオミだ。
ナオミの柔らかそうな唇が開き、フォークをゆっくりいれていく。
この光景は慣れているため、何時も通り珈琲を啜る。
彼女は女の子を溺愛している。
曰く、女の子はみんな大抵可愛い。
曰く、可愛いものを愛でて何が悪い。
曰く、ストライクゾーンは十五歳以上の子。
・・・。
彼女が何故自分と付き合っているのか、よく分からなくなる。
「聞いておくれ、潤一郎君。
先日、金髪で深紅のワンピースを着ていた、とても可憐な女の子に出会ったのだよ。
その時私は、衝撃の雷に打たれたよ」
少し熱っぽく語る彼女は今日一番キラキラしている。
「このまま連れて帰ってしまいたくなったよ。幼女誘拐犯の気持ちが大いに共感できた」
もう苦笑しかない。
「で、実際はどうしたの?」
「お持ち帰りしたかったが、犯罪者には成りたくないから、一緒にクレープ食べて、遊んだ。
其のうち、保護者らしき人が迎えにきたよ」
「君のストライクゾーンに幼女は含まれないンじゃないの?」
「可愛らしい私好みの幼女は、別らしい。名前を聞けば良かった・・・」
悔しそうに、顔を歪める。
結局、女性なら誰に対しても甘いのだ。
彼女の顔を見ると、ブラック珈琲が甘く感じる。
「私の夢はね、大勢の可憐な少女達や妖艶な女性達を全員侍らせ、玉座には、男装をした私が座る。桃源郷な空間を創ることなのだよ」
紅茶を涼しい顔をして啜る。
「大丈夫、潤一郎君は女装でもしてくれれば最高だよ」
身を乗り出し、一口サイズに切ったケーキを潤一郎の口へ入れる。
甘酸っぱい味が口に広がると同時に、Aがとても妖艶に笑っていて、ズルいと心の中で思った。
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麗(プロフ) - 10ページ 読んでみる ではなく 呼んでみる ではないでしょうか? (2021年4月13日 0時) (レス) id: 411fa15fdd (このIDを非表示/違反報告)
柚湯(プロフ) - みほさん» すいません。そういう仕様と思ってください。ちょこちょこ直したので違和感が少なくなっているといいのですが・・・。 (2018年2月14日 2時) (レス) id: c8fb7ba279 (このIDを非表示/違反報告)
柚湯(プロフ) - 凰朧月鬼華さん» 改行を増やしてみました。見やすくできるように頑張ります。 (2018年2月14日 2時) (レス) id: c8fb7ba279 (このIDを非表示/違反報告)
柚湯(プロフ) - 塩キャラメルさん» 遅くなりすいません。少し空白を入れ、改行を加えてみました。少しは見やすくなったでしょうか? (2018年2月14日 2時) (レス) id: c8fb7ba279 (このIDを非表示/違反報告)
みほ - 句読点の入れ方が独特ですが、そう言う仕様なんでしょうか?読んでいるときに引っ掛かって違和感があったので…。わざとそうしているのであればすいません。 (2018年2月8日 17時) (レス) id: 605cea03c8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:柚湯 | 作成日時:2016年12月11日 4時