4 wheel ページ4
彼はある一室の扉の前までくると私の部屋の中に入れると閉ざしていた口を開けた。
その部屋は豪華な宝石が散りばめてあり、翠色で満ちていた。部屋の様子に呆気をとられていると。
「お前、俺が昼間出歩いていたのを誰にも言うな。お前が屋敷に無断で入ろうとしたこと、誰にも言わねぇから」
彼は低い声で私に話しかけた。
今起きている事態を理解出来ずに私が困惑した。
彼はそんな私の様子をみて驚いたように再度口を開いた。
「お前。花魁の間に勝手に入っていいと思ってんの?」
『お、花魁って...?』
花魁ってまさかこの街のトップ...。確かに彼の美貌は世間知らずの私でも群を抜いている程のものだと分かる。
はぁ? とでも言うように彼は私を見た。
「お前知らねぇのかよ。俺は菊の間の緑菊。うらただ。本来花魁は勝手に外に出たらダメだし、お前みたいに客や屋敷の者以外の女は花魁の間に入れないんだよ。」
あっ... と声を漏らすとうらたさんは やっとかよ とため息をついた。
緑菊花魁...。
私でも知っている名前だ。
この街の儲けの半分は花魁が稼いだものであると聞いたことがある。その一角である緑菊花魁が目の前にいる...。
私は大変なことをしてしまったのだと今更ながら感じた。
「このことは内緒な。裏口を通って出れば人に見られねぇから。さっさと帰...」
彼の言葉は止まり、彼の目は私の手の中にある小袋を珍しいものでも見つけたように見ていた。
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kne(プロフ) - 読んでみて面白かったです。 続き楽しみです。 (2021年9月12日 22時) (レス) id: ee34aec55d (このIDを非表示/違反報告)
さっきー - お話読ませていただきました!! とっても、面白かったです! 応援してます!! これからも、頑張ってください。 浦島坂田船めっっちゃすきです! 『花や花』という曲がてでから、 その曲にも、はまっちゃいました。 (2020年4月16日 22時) (レス) id: 923aa8cddb (このIDを非表示/違反報告)
さっきー - お話読ませていただきました!! とっても、面白かったです! 応援してます!! これからも、頑張ってください。 浦島坂田船めっっちゃすきです! 『花や花』という曲がてでから、 その曲にも、はまっちゃいました。 (2020年4月16日 22時) (レス) id: 923aa8cddb (このIDを非表示/違反報告)
ゆりりん(プロフ) - このお話とっても好きです!作者様、坂田家さんかな〜と思いました(笑) (2020年4月2日 10時) (レス) id: 1a501ad80d (このIDを非表示/違反報告)
あず(プロフ) - コメ失礼します!花魁っていいですよね……私は浦島坂田船で遊男(?)と考えると吉原ラメントが思い浮かびます、いい歌ですよね……後、更新頑張ってください!応援してます! (2020年3月30日 7時) (レス) id: 6c8710114f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:名無しちゃん | 作成日時:2020年3月24日 21時