167.帝東高校、向井太陽 ページ36
倉持「第一試合の相手が帝東って…甲子園常連校じゃねぇか！お前クジ運にもムラがあんのかよ！？」
御幸「ハハハ…燃えんだろ？」
倉持「ハハハじゃねーよ！」
『倉持君…それだけじゃないんです。さらにこちらのブロック、三回戦まで順当に勝ち抜けばもれなく稲実との対戦が…』
倉持「月見里までおかしくなってんぞ！！」
抽選会から帰ってきた私達…2年のメンバーに見せたはいいものの、ブーイングの嵐だった。
高島「甲子園出場回数は春夏合わせて21回。内、全国制覇2回…常勝軍団と呼ばれるようになった言わば甲子園の顔。
強肩強打のキャプテン乾健吾。一年で甲子園デビューを果たした向井太陽。」
倉持「左のサイドスローで決め球はスクリューか…」
小野「あまり見慣れない軌道なだけに厄介かもな」
御幸「特に左打者からは背中から飛んでくる感じだろう」
『…左のサイドスローに、スクリュー…』
倉持「おい、月見里…いつにも増してすごいことになってんぞ！オーラしまえ！」
片岡「低めに入ってきた変化球を見極め甘く入ってきた球を叩く。これが、向井攻略の最低条件だ。あとはエンドラン、足をからめた攻撃で徹底的に揺さぶりをかけるぞ！
まずは強者との対戦を楽しめ、その上でこの
一戦を取る！」
「「「はい！」」」
初戦から優勝候補の帝東高校との対戦…しかも、そのエースがあの向井君。
私がシニアの時、一度だけ彼を見に行ったことがある…。一つしか年が違わないのに、並外れた制球力。コントロールがお世辞にも良いと言えなかった私にとって、彼は輝いた存在であった。
運動神経が良いだけでは成し得ない…これは努力の証だ。コントロールの良さは、何度も何度も繰り返し練習するからこそうまれるものだ。
それでも、努力を積めばある程度の高みを目指し到達することは容易い…問題はその先…誰もが練習の苦痛に耐えかねて挫折する中で、まだその先を目指すことができるかどうか…
あの頃の私にまだ続けたいという意志があれば…周りの意見に流されず、自分の意志を貫いていれば…
後悔ばかりで思い出すのも嫌になる…。
私はあの頃の…シニアで野球をしている自分が大嫌いだ。他人の目ばかりを気にして、誰の為に野球をしているのかわからない私の姿を思い浮かべるだけで苛立つ。
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唯一信頼できる幼馴染に弱みを吐き出す事のできなかった弱い自分に…
終わり←番外編.意識の違い
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作者名：花 | 作成日時：2016年7月17日 3時
