162.最高だわ… ページ27
御幸「まさか、お前が出てくるとは…」
『ははっ！薄々気づいてたくせに…』
バッターボックスに立ち、試合で捕手として構えている一也と話すのは初めて…
御幸「普段見てる時より、打席で見る方が手強いぜ…あいつの球…」
『わかってるよ…クリス先輩を見事に抑えたんだ…ほとんど真ん中と思っていても差し込まれる…』
御幸「お前が得意なタイプだもんな、変化球の投手は…」
『ただ、ムービング使いは初めてだよ…それに…今の彼は、かなり手強いな…』
御幸「ま、お前の事は解ってるからな…手加減しねぇよ？」
『そういう一也の性格…私だって一也の事大体は理解してるつもりですよ』
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私が一也だったら…まだ、不完全な沢村くんにインコースへ構える事はない。だったら…徹底的にアウトコース狙い…
第1球目、ストライクゾーンより少し低めのボール球。2球目、3球目とアウトハイ、アウトローと良いコースに決められた。
正直遠く感じて、手が出なかった。
これで左打席だったらもっと良いようにこの二人に遊ばれてたな…左利きの沢村君にとって左打者へのアウトローは腕が右打者よりも振り切れるはず…
ワンボールツーストライク…
私が追い込まれた状況に弱いことを知ってる一也なら…多少甘くてもアウトコースで攻めてくる！
第4球目…足を思いっきり踏み込み
最後まで、ボールがバットに当たる最後までしっかりと見て…決して力任せにせず、流れるようにバットを振り切った。
御幸「ハハ…A、やっぱりお前…最高だわ…！！」
ボールはバックフェンスに当たり二塁打となった。
『は……ははっ！う、打てた…！！やった…』
頬が緩んで笑みを隠しきれない…前園くんの気持ちが本当によくわかった…
今までこんなに気持ちよくボールが飛んだことがあっただろうか…いや、ない！
忘れてた…
この感じ、この達成感。あの頃と同じだ…これだけは変わらない…野球が大好きだったあの頃と…
伊佐敷「おまっ！？何泣いてんだ！！沢村に牽制されるぞ！！」
沢村「いやさすがに俺もそこまで鬼じゃないっすから！！」
『ごめんなさい…嬉しくて！！
もう大丈夫です！！続けましょう！試合！』
何度か盗塁を試みて成功させ三塁へ進んだものの、そのまま両者互いに点が入ることはなく同点で試合は終わりを迎えた。
結城「さぁ、整列だ…」
両チームとも整列のためグラウンドに出ていく
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作者名：花 | 作成日時：2016年7月17日 3時
