46話 ページ10
全員分の水を竹水筒に汲み終え野営地に戻ると、隊長と駕篭持ちの人たちしかいなかった
大名の忍は駕篭の中だろう。極力駕篭から出ないことになっている
シカクとミナトは周辺偵察も兼ねて薪になる枝を集めに行っていた
「お、A!水サンキューな!」
道中やたらと私たちに絡んでいたレン隊長とは早々に打ち解け、既に良いチームになってきている
「俺その辺で小便してくるからちょっとここ頼むな!」
……と、思いたい
『(そういえば、香月レンなんて人原作にはいなかったよね)』
私の約20年も前の記憶が正しければあってる筈だ
ただ単に原作には登場しなかっただけか、それとも…
「何か考え事かい?」
『うわっ』
いつの間に戻ったのか、すぐ隣にミナトが居て思わず飛びのいてしまった
『ごめん…びっくりして…』
「いや……お、俺もいきなり声かけてごめんね」
「ブハッ」
突然吹き出す音が聞こえてきてそちらを見ると、シカクが肩を震わせていた
何もないかのようによそを向いているが口元が堪えきれていない
「シカク……」
恨めしそうにシカクを睨むミナト
心なしか頬が赤くなっている
『…?』
よく分からないがシカクにとって何か面白いことが起きたらしい
「お、薪サンキュー」
隊長も戻ってきたためそのまま明日の確認などを行った
シカクやミナトによると付近に人がいた形跡はなく、事前に調べていた通りこの辺りで小競り合いなどは起きていないようだ
予定通りのルートで此の国へ向かうことができるだろう
夜の見張りは四人交代でいいと言ったにもかかわらず、隊長から私は見張りをしなくていいと言われた
『四人の方が一人の休憩時間も長くなります!私も見張りにつきます』
「少しぐらいの時間だろ?Aは女の子だしゆっくり休むといい」
『…っ』
女だから?
隊長は気を遣ってくれているのだろうがそれは嬉しくもなんともない言葉だった
任務はチームでこなすもの
一人だけ楽するなんて私には耐えられない
怪我をしている訳でもないのに変な気をまわされるのは嫌だ
アカデミー時代の時に組手したレン隊長は私が女だろうが関係なしに戦ってくれた
隊長の言葉は私に棘として刺さった
何より、それに対してミナトも賛同的だったことが悲しかった
『……』
結局その日私はゆっくり休む時間を貰えたが、寝たふりをしただけで一睡もできなかった
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あまね(プロフ) - コメントありがとうございます。サボり管理人故にお待たせしてしまうことでしょうが、寛大な心で更新お待ち頂けると幸いです (2018年7月1日 1時) (レス) id: 1de2d0bb0d (このIDを非表示/違反報告)
みーさ - とても面白いです! これからも頑張ってください!! (2018年6月30日 17時) (レス) id: c6295103af (このIDを非表示/違反報告)
しろくま - お久しぶりです。そろそろ続きを頂けないかなぁ〜。なんて思っての書き込みです。(スミマセン) (2018年2月11日 2時) (レス) id: 2cd02ea97c (このIDを非表示/違反報告)
あまね(プロフ) - 百合の花さん» コメントありがとうございます(^^)馴れ馴れしいなんてとんでもない。更新楽しみにしてくださってる方からのコメント、嬉しい限りです!他の人より更新は遅いですが完結まで是非お付き合いください(_ _) (2017年12月18日 21時) (レス) id: 09c16cdf37 (このIDを非表示/違反報告)
百合の花 - お帰りなさいです!初めてコメントするのに馴れ馴れしかったらごめんなさい。いつも楽しみにして読んでたので更新されて嬉しいです!いつも応援しています!頑張ってください! (2017年12月15日 23時) (レス) id: b8bc411ea9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あまね | 作成日時:2017年5月5日 17時