【ＮＡＲＵＴＯ】波風シンドローム2

72話 ページ37

「…後悔しました。わたしは彼女に何も伝えられなかった。ずっと気持ちを閉まっておくつもりでしたが、本当に伝えられない状況に陥って初めて、行動を起こさなかった自分を責めました」

断られることの怖さに怯えうじうじ引きずり、想いを伝えられなかった自分が大嫌いだった

それを自分が選んだのに、伝えられなくなってしまって後悔している自分が…もっと嫌いになった


「…伝えたいことは、伝えられるうちにちゃんと伝えないと、ね？わたしたち忍は尚更」


『…！』

伝わってきた、彼の想いが痛い程に

伝えたいことは伝えられるうちに…
アラトさんの言葉を何度も頭の中で反復する


「貴女は、わたしのようにならないでください」

どこか遠くを見つめながら呟いたアラトさんに私も深く頷いた

『ありがとうございます、アラトさん…私、「ちょっとA！何してるってばね！？」

焦った顔で駆け寄ってきたクシナを見て、いつの間にか周囲は静けさを取り戻していたことに気付く

『ん？どうしたのクシナ、血相変えて』

「どうしたの、じゃないわよ！ソレよソレ！」

クシナが指差す先を辿れば私の頭に行きついた
頭には少し骨ばった手が乗っている

私はまたアラトさんに撫でられていた


『あぁ、なんか頭撫でられると落ち着くんだよね』

初めは驚きはしたものの、頭をポンポン撫でられるのはとても心地よかった
だから二回目も黙って受け入れていたのだが


「えぇ…A…」

冷汗を掻き呆れた顔をするクシナを見て多少の羞恥を感じ始めた

「いやぁ、Aさんを見てると妹を思い出してしまってつい」

『アラトさん、妹さんがいらっしゃるんですね』

「はい、正確にはいた、ですけどね」

苦笑い気味に答えたアラトさんに『…すみません』と謝る
微妙な空気を変えるようにクシナが話し出した


「さっきから二人して随分話し込んでいたみたいだけど、何話してたんだってばね」

『ん？いや大したことじゃ…』

「俺も、その話は興味あるね」

ジト目を向けてくるクシナの後ろからミナトまで現れた


「わたしの昔話に付き合ってもらっていたんですよ、ね？Aさん」

『そ、そうそう。アラトさんの昔話に、ね』

どう答えようか考えあぐねていたところアラトさんから助け船が出された

「へぇ、そっか…昔話ね」

「ミナト…目が笑ってないってばね」


『それにしても、思いの外長居しちゃったね』

小休憩と言って結構な時間が経っていた


『そろそろ、里に帰ろう』

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