【ＮＡＲＵＴＯ】波風シンドローム2

47話 ページ11

「寝ないのか」

『……』


東の空が明るんできた頃

三人目の見張りの当番であるシカクは持参していた本を読みながら時間を潰しているようだ

横になっている私の近く、背中合わせになるようにして座っていたシカクが話しかけてきた


「お前一睡もしてないんだろ」


『………何読んでるの』


振り返らずそのままの体勢で聞くと、将棋の本と声が返ってきた


相変わらず将棋ばかりやっているらしい


「アイツに対しての態度、以前とは随分違うみたいだな」

『……』


…シカクは案外お節介なところがある
面倒くさそうにしながらもなんやかんや人のことを見ていて、がっつり関わってくるのではなくあくまでサポートしようとしてくれる


シカクは私のことなんて見透かしているのだろう

実は初めて話した時からちょっと苦手意識を抱いていたりする




＿＿＿

＿＿

＿






≪結構並んでるね≫

〈この間オープンしたばかりだからお客さんで賑わってるみたいだね〉


先日開店した焼肉店にミナトとクシナの三人でやって来た


〈あー、お腹空いた！早く食べたいってばね！〉


偶然木の葉通りでばったり会い、そのままお昼を食べに行くことになった私たち
新しくできた焼肉店が気になっていたこともあり一緒に並ぶこと小一時間

ようやく店の入り口が見える位置まで進んできた


〈あ、シカクたちだ〉

ミナトの言葉に列からはみ出して前の方を見ると、げんなりした顔で歩いてくる奈良シカク、山中いのいち
二人とは違い軽い足取りで歩いてくる秋道チョウザの姿があった


〈焼肉焼肉！〉

〈おい、チョウザ…よく見ろこの長蛇の列。こりゃ飯にありつけるのは何時間後だ？〉

〈え〜、そんなに待てないよ〉


三人ともここの焼肉を食べにきたようだが列を見て露骨に嫌そうな顔をしている
様子を見ていると羨ましそうな顔をして列を眺めていたチョウザと目が合った

すぐにその目線は私の後ろへいきパッと笑顔になって〈ミナトだ！〉とこちらへ駆けてきた




〈ミナト！良いところに！〉

〈や、やあチョウザ〉


満面の笑みから一転、すごい剣幕で詰め寄られたミナト
さすがの彼も若干引き気味だ



〈ちょうどお腹ペコペコだったんだ！…相席して、いいよね？〉





チョウザに対して何か得体の知れない恐怖を感じた瞬間だった









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