い も う と 28 ページ29
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「だめだ。本当に誰だかわかんない。」
「ん?...あ、Aよそ見したら水かかっちゃうよ」
「わわわっ」
朝の日差しの下、目の前のお花たちを前に私たち兄妹は仲良く休日を過ごしていた。
花のお世話をお兄ちゃんとやるなんて、実家にいた時以来だ。
そんな楽しい状況なのに、未だにたるちさんの正体を考えてしまう私は、一体どうしてしまったのだろうか。
「今日も、お庭番長のおかげで花たちは元気そうだね。」
「あはは、今日はその妹もいるから尚更元気そうだよ。」
気を紛らわすようにお兄ちゃんに話しかけると、とっても楽しそうに笑うから、思わず笑みがこぼれる。
つなぎを着ているお兄ちゃんも意味わからないぐらいかっこいい。
ある程度水をやると、1度休憩することになった。
2人で中庭のベンチに座りぼーっと先程水やりをしたばかりの花たちを見つめる。
「...Aはさ、どうしてそこまでして“たるちさん”の正体を知りたいの?」
思いたったように言うお兄ちゃんに、私はすぐに声がでなかった。
「どうして...って、んー...単純に気になるでしょ、今までネットに繋がってた人が、実は同じ寮に住んでました!...ってなったら。」
自分で言っておきながら、どこか言い訳じみている気がした。
「...そっか。俺はネットのことはよく分からないけど、Aがこんなに人に興味をもつとは思わなかったから」
「そりゃあ、相手はあこがれのゲーム実況者さんだからね。」
本当にそれだけなんだろうか。
頭の中でそんな言葉が反響する。
相手は、あこがれのゲーム実況者さん。
最近繋がるようになって、仲良くなった人。
同じ寮に住んでいる、それだけの人。
___それだけの、はずなんだけどな。
「まあ、俺は教えてあげられないんだけどね。」
「お兄ちゃん...!!」
なんでよ!教えてよ!なんてお兄ちゃんの体を揺さぶるが、お兄ちゃんはなかなか答えてくれない。
「っちょ、A!揺さぶらないで...!」
「お兄ちゃんが教えてくれないのが悪い!」
「っでも、本人がここまで嫌がってるのに無理にしろうとするのは良くないんじゃないかな...っ...」
その言葉に、思わず揺さぶるのをやめてしまう。
「...ふぅ。Aだって、クラスの人とかにバレるの嫌でしょ。そこまでして、探る必要はないんじゃない?」
そうだ。その通りだ。
そんなこと、私が1番分かっている。
なのに、それでも探ってしまうのはなぜ。
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雨村(プロフ) - 夢花(仮垢)さん» わわわ!!!本当ですね!!笑なんだか危ない感じに……( 報告ありがとうございます、修正しておきます!! (2018年10月14日 22時) (レス) id: a3cc1f37d6 (このIDを非表示/違反報告)
夢花(仮垢) - 36のとこで、勉強がべんきになってますぞ…最初色んな意味でビビりましたわw (2018年10月14日 21時) (レス) id: 1ce7d18474 (このIDを非表示/違反報告)
雨村(プロフ) - にゃるさん» ありがとうございます…!!最近は更新ペースがなかなか安定しなくて本当申し訳ないです。頑張ります!!! (2018年8月22日 1時) (レス) id: 291ab6483c (このIDを非表示/違反報告)
にゃる(プロフ) - いつも更新楽しみにしています。これからも頑張ってください (2018年8月21日 21時) (レス) id: 1eb7bde713 (このIDを非表示/違反報告)
雨村(プロフ) - 通行人Aさん» ほんとだ!!間違いです、すみません(><)ご指摘ありがとうございます!!修正しておきます。 (2018年8月21日 11時) (レス) id: a3cc1f37d6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雨村 | 作成日時:2018年7月23日 0時