検索窓
今日:1 hit、昨日:0 hit、合計:577 hit

ジル ページ3

今日の待ち合わせは午後6時
駅前の本屋の出口。

毎週金曜日は紙袋2つ分。
大量の本を買い込んで出てくる。



「ベストタイミング〜」



僕の計算に間違いはないね。
いつも通りの軽い足取りで駆け寄った。



「だーれだっ」



華奢な両腕からひょいと荷物を取り上げたがその少女は振り返ると同時に僕の顔面に向かって容赦のない拳を振り落とした。

沈む直前の太陽に照らされて揺れた藤色の短い髪と頭の宝石がキラッと輝く。



「やっぱ効くね...ジルのパンチは..」



殴られる瞬間とっさに脱いだカーディガンの上に着地させた本たちを気にしながら僕は頬を抑えた。

ジルは何も言わずにいつも通りの無表情で僕の前に仁王立ちしている。



「ねーごめんって。ね?
ほら本はちゃんと無事だからさ。許してよ。」


「お前はなぜいつも俺の出てくる場所にいるん
だ。待ち伏せはやめろと言ったはずだが?」



ジルはそう言いながら指の関節をボキボキ鳴らした。
その直後に繰り出された二発目を僕はひらりとかわして立ち上がった。



「はいはいごめんごめんもうしないよ〜
それより早く帰ろうよ。
今日は大事な話があるんだ。」


「次やったら今度こそ殺すからなこのチビ野
郎。」



実に自分の40cm上から降り注ぐ「殺す」の言葉にはさすがの僕も言い返す言葉がなかった。



「はいはい。仰せのままに。」



僕は軽く頭を下げると依然不機嫌なジルの手を取って帰路を急いだ。

寄り道→←世界



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (5 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
3人がお気に入り
作品ジャンル:ファンタジー, オリジナル作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:天雛ゆめみ | 作成日時:2019年2月6日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。