貴方に愛して欲しかっただけ。

6 ページ7

荷物は大方まとまった。

『22時…か、そろそろ出よう』

荷物と言っても少しの衣類とお金くらいしか持っていかないから身軽だ。

『んん、行く宛ては……もちろんない…けど、
この街から離れてできる限り遠くへ行こう』


荷物を持ち、玄関で靴を履き振り返る。

シン…とした建物

ここで過ごした日々や
善逸くんとの思い出がフラッシュバックして
また目に膜が張る。

『さっき、出し切ったはずなんだけどなぁ』

･
･
･


善「俺、絶対Aちゃんを幸せにする！」

善「ｱﾞｱﾞｱﾞ！可愛い！可愛すぎて死んじゃう！」

善「いい？夜は絶対に外に出たらダメだよ！約束」

善「俺、すっごく弱いけど、何に変えてもAちゃんのことは守るから！！」

善「ねぇ、Aちゃん、、その、呼び捨てでもいいかな？」

善「…っ、A簪…すごく似合ってる」

善「うあああん！A…絶対に浮気しないでねぇ！俺浮気は絶対許さないからァ！！」

……幸せだったな

あの頃は愛されていたんだなぁ

いまとなっては昔話にすぎないけれど。

浮気は許さないって言っておいて、
貴方がして…でももうやめる。
貴方を責めたりしない。


こうなったのは全部、私のせい。


『お世話に…なりました』

荷物を持ち、
建物に向かって会釈をする

どうか、幸せになってください

私のことは忘れてください

善逸くんのことが大好きでした

愛していました。

さようなら____。

7→←5

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す