【歌.い.手】男装歌い手はじめました【そらる】 (ページ2)

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#02 ないページ2

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「いやぁ焦ったわ、急にAから電話でおばあちゃんが倒れてるなんて言われるから」

『いやあたしの方が焦ったけどね』

あの後、お母さんに電話したら飛んできた。

ただの睡眠不足らしく、チャイムに気づいて出ようとした瞬間バタッと、ね

いやぁ怖い

そのままぽっくり逝っちゃうかと思ったわ馬鹿。

あ、なんか目眩してきた

『…お母さん、体調悪いから家帰って寝てるわ』

そう軽く残し、おばあちゃんの家を出た

さっきまで暑いくらいだった日差しも今はなく、今にも雨が降りそうな天気

『やば、早く帰ろ』

そう呟いて早めに歩き出した。

ちょうど中間あたりのところまでついた時、いきなり雨が降り出した。

『ちょっ、なにこれゲリラ豪雨じゃないの？！』

自然だから仕方なかろう天気にケチつけながら、少し前にあるケーキ屋さんに入ることにした

なんで今日に限って白い服着たんだろう、肌にひっつく感じがとても気持ち悪い…

カランカラン、とドアを開けるととても雰囲気のある綺麗なお店だった。

『はわ、美味しそう』

美味しそうな香り。

目の前には眩しいほど輝いているケーキ。

これは買えなくてもお腹が空くよね

少し心が揺らぎ、財布をしまったであろう腰ポケットを探る

…あれ

『ない』

財布はある。
中身がないけど。

鍵がない。

このままここに寄らずに帰ってたらと考えたら背筋がゾクゾクした

やばい。でも買えるお金はない。

買わずにこの店に居続けるのも…

入ったはいいものの、入り口であたふたするあたしをみる店員さんの視線が痛い。

どうしようかな、と恐る恐る財布の中身を覗くとやはり買えそうなお金はない。

ため息をついた瞬間、背中のドアが空いた

「わ、びしょ濡れじゃないですか！大丈夫ですか？」

…天使がいた…

『ふ、え、あぁ、大丈夫で…す…』

その天使は人を殺せるような眩しい笑顔を向けてきた

するとその天使の後ろから眠そうな人が入ってきて

第一声が

「…下着透けてるよ」

『へ…っ？！へへへ変態！！！！』

初めて見ず知らずの初対面の人をビンタした。

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