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ユズside
『ごめんね、ユズくん』
『なにが?』
あの後へたり込んでは立ち上がれなかった僕らは、その場に座り込んでいる
少しずつ落ち着いてきたAは、急に謝り出した
急に泣き出してごめん、なんて
『前と変わらないね…僕もAも』
すっかり沈みきった丘からの眺めは、涼しいもので
少し心の整理がついたようなそんな気がした
『…変わってないよ』
そんなAの呟きすら聞こえない、静かな丘だった。
『っ、Aって呼ばれるの照れくさいし、アサヒのままでいいよ』
それに、と付け足すAは、少し表情を暗くした
『…気づいてるでしょ?あたしがASaHiだってこと』
ゆっくりと顔を近づけ、顔を覗き込んでくるA
その目は透き通っていて、僕の奥を見られてる気がして怖いほど
僕の目を捉えて離さない、そんな目だった
冷や汗をかきながら静かに頷くと、もうすっかりいつものAに戻ってて
『あは、やっぱり?前みたいに歌えるようになったんだし、この名前の方がしっくりくる』
頬を赤らめながら遠くを見るA
彼女がアサヒと呼ぶことを望んでも
僕はきっとAと呼んでしまうだろう
愛おしいような、苦しいようなそんな感情にもみくちゃにされながら、僕も遠くを見た。
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栗山(プロフ) - 瑞希。さん» 瑞希ーだーー!! (2017年4月21日 18時) (レス) id: 5a57ec5ebf (このIDを非表示/違反報告)
瑞希。(プロフ) - 川合っす。笑笑。 (2017年4月19日 23時) (レス) id: 12fbe3d2f8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:栗山 | 作成日時:2017年4月19日 20時